エピローグ エンディミオンの魔女
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私は、旧ヒースガルド市街壊滅に始める一連の事件の調査のため、重要関係者ヴィルヘルム・エイゼルシュタイン教授の秘書として、潜入調査を行った。以下は、その報告である。
今回の事件の鍵は、触媒法の権威、ヴィルヘルム教授が研究していた、賢者の触媒と呼ばれる物質である。
これは、錬成の効果を増幅する性質を持ち、完成すれば、伝説の賢者の石にも匹敵する物質であったらしい。
ヴィルヘルム教授とその助手グレタ・リデルは、ヒースガルドの街に多数の錬金術師たちを、呼び集めていた。
これは、彼らを利用して、賢者の触媒を完成させる計画のためだったと推測されるが、彼らをどう利用するつもりだったのかは不明である。
また、ヒースガルド周辺に出没していたキメラも、城の地下工房で作られていたことが判明しており、これも計画の一環であったようだ。
ヒースガルド地方長官の職にあったムーディ・ネムダ准将は、ヴィルヘルム、グレタ両名の活動を、ある程度まで察知していながら、法に則した処置や中央への報告を怠った。
それどころか、彼らの非合法活動を黙認する見返りとして、秘密裏に軍事用キメラの開発するよう取引を申し出たのである。
だが、実際にキメラの開発を中心的に行っていたのは、教授ではなく、助手のグレタである。
また、そもそも教授に対して最初にキメラ開発を持ちかけたのも、教授とネムダを引き合わせて、協力関係を成立させたのもグレタである。
キメラが旧ヒースガルド市街を壊滅させた事件についても、彼女が主導的な役割を果たした可能性が極めて高い。
賢者の触媒を手に入れるため、グレタが引き起こした今回の騒乱事件は、触媒の暴走を、ヴィルヘルム教授がその身を持って食い止め、研究室ごと消滅するという形で幕を下ろした。
この事からも、真の首謀者はグレタ・リデルであり、ヴィルヘルム教授やネムダ准将は共に彼女に利用されていたというのが、もっとも真実に近い形であると思われる。
関係者の処分については、以下の通り。
ガンツ・ブレスロー上級大佐
現在、軍病院に入院中。
事件への関与は不明な点も多いが、グレタ、ネムダ両名と協力関係にあったことは間違いなく
事情聴取の後、軍法会議で裁かれる事になるだろう。
尚、先日、トレインジャックを行った国家憲兵隊員が意識を取り戻し、ガンツの役割は、錬金術師をヒースガルドに集めることだったのではないか?という証言が得られている。真偽のほどは調査中である。
ムーディ・ネムダ准将
軍刑務所にて、服役中。
将校の立場にありながら、軍備、兵を私物化し、周辺地域を混乱に陥れた罪は大きい。
また、中央に対する反乱を企てていた証拠も上がっている。
現時点で、懲役145年が確定しているが、余罪を全て追求すれば更に200年は追加される事になるだろう。
グレタ・リデル
消息不明。
目撃者の証言によれば、生存の可能性は極めて低いと思われるが、死体は確認されていない。
彼女の素性、経歴など一切が不明。
ただ、別称の『カミラ』という名に関しては、中央の記録保管庫から興味深い事実が見つかっている。
『カミラ』と名乗る人物の暗躍が認められる事件は、今回が始めてではない。
時に、容疑者として。時に、軍側の協力者として。その名は過去の報告書の中に、たびたび登場しているのである。
しかし、この中で最古の記録は、60年以上前のものである。記録内容には共通する部分も多いが、それらを全て同一人物のものとして考えるのは、やはり非現実的だろう。
ヴィルヘルム・エイゼルシュタイン教授
消息不明。
アトリエと共に消滅。生存の可能性はないと思われる。
一連の事件において、非合法な活動を行っていたこと。触媒の暴走で、多くの人命が失われるのをその身を犠牲に防いだこと。
双方が事実である。
矛盾多き人物であったが、賢者の触媒が完成したかどうかは、定かではない。
報告者 リザ・ホークアイ中尉
追記
騒乱事件当時、ヒースガルドを訪れていた国家錬金術師がいたが、列車事故による足止めで、事件への直接的な関与は認められなかった。
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