最終章 翔べない天使
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「エド!アル!エリス!良かった・・・あたし、すごくすっごく心配したんだから!!」
着地すると、アルモニが抱きついてきた。
「ごめんね、アルモニ。ボクも軍に連れていかれた時は、どうなるかと思ったけど、なんとか逃げ出して来たよ」
涙ぐむアルモニを宥めていると、神父も近づいて来る。
「悪ィな、じーさん。咄嗟に逃げ込む場所を考えたら、ここしかなかったもんでね」
「かまわんよ。しかし、3人とも無事で良かった。アルモニから話を聞いて、私も心配していたところだ」
「あれ?そういえば、どうしてアルモニが教会にいるの?」
「教授は?一緒じゃないのか?」
「パパは・・まだおうち。あたし、パパに追い出されちゃった・・・」
「え?」
3人が顔を見合わせると、神父に教会の中に入ろうと促される。
キメラを警戒してのことだろう。
聖堂のベンチに座ると、伏し目がちに口を開いた。
「・・・錬金術を習ったこと、パパにバレたの。だから多分、パパは怒ってあたしのことを追い出したんだと思う・・
もうきっと、あたしはパパにはいらない子なんだ」
「・・・・」
「そ、そんなことないよ。教授に限って、そんなーー」
「そうだとも。ヴィルヘルム教授には、きっと何か理由があって、アルモニを1人で逃がしたんだよ」
「そうーーなの、かな・・・」
「そうだよ、きっと、神父さんの言うとおりだよ」
「おいおい、今はそんなメソメソしてる場合じゃないぞ、アルモニ。教授はまだ、城にいるんだな?」
「急いだ方がいいんじゃない」
エリスの言葉に、エドワードは頷く。
「あぁ。実は、教授に逮捕状が出てる。アルモニも、軍から追われてるぞ」
「ええっ!?うそ!そんな、どうして!?」
「ーー理由はわからないけど」
おそらく、
「とにかく、俺たちは今から教授を助けにいく。アルモニは、エリスとここに隠れていてくれ」
「いやよ。ここまで来て、何も知らないで帰れないわ」
「ーーわかった」
後は、軍に見つからないように街へ入るだけだ。その時ーー
「待って、あたしも一緒に行く」
アルモニが、エドワードの腕を掴む。
「バカ、ダメだ。お前はじーさんと一緒にいろ」
「やだやだやだ、あたしも一緒に連れて行ってよ!」
アルフォンスは駄々をこねるアルモニの肩を抱く。
「アルモニ・・心配しないで。教授はボクたちが絶対守るよ。軍なんかに渡さないから」
「でもーー!!」
「3人の足手まといになるだけだ。アルモニはここに残りなさい」
神父に諭され、渋々俯く。
「・・・・分かった。でも、今行っても、街の中には入れないよ」
「え?どういうこと?」
「あたしが街を出た後に、錬金術師の人たちが封鎖しちゃったの。だってほら、あんなキメラ騒ぎがあったから・・」
「街は厳戒態勢ってわけかーーあの塀を乗り越えて、強行突破するか?」
「得策とは言えないわね。この件に関しては軍と術師たちの利害は一致してるし、手を組んでくるでしょうから」
「利害の一致とは?」
神父がエリスに訊ねる。
「あのネムダって准将、クーデターでも目論んでるんでしょ」
「街の術師たちは?」
アルモニの問いには、エドワードが答える。
「居場所ーーかな。どこへいっても、厄介者なんだろ、あいつら」
「なら、どうやって街へ入れば・・」
「それなら、心配はいらん。地下水路を使えばよい」
「地下水路?」
「以前、ヴィルヘルム教授が整備した下水道だが、確か、ここから城まで繋がっていたはずだ。その通路を使うがよかろう。夜が明けたら案内しよう」
夜明けまで、束の間の休息をとった。
エドワードは眠ろうと思ったが、興奮しているのか眠れなかった。
「眠れないの?」
エリスが声を掛けてきた。
アルモニは神父のベッドを借りて休んでいた。アルフォンスは外を警戒している。
「ーー怖いの?」
「・・・何が」
「真実を確かめるのがーーーもう、わかってるんでしょ?」
「・・・・・」
「術師の性かしらね。たとえ、それがどんな残酷なことだとしても、真実を知りたがるのは」
エドワードが答えないので、エリスもそれ以上はしゃべるのをやめた。
翌日、夜明けとともに庭にある地下水路の入り口に、エドワードたちは案内された。
錆び付いたフェンスをアルフォンスが力撒かせに外すと、入り口が黒くポッカリと開いている。
「ここだ。ここから地下水路に入ることが出来る」
「おぉ、こりゃいいや。助かるよ、神父のじーさん。じゃ、ちょっといってくるぜ」
「神父さまと無事を祈っててね」
「3人とも、気をつけてね」
「おぉ。よし、行くぞ」
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