第8章 白い羽根の加護
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺たちが逃げ出したこと、そろそろ所内全体に、知れ渡った頃だろうな」
「・・とっくだと思うけど」
エリスはため息をついた。夕闇に紛れ、牢を脱出するまでは良かったのだがーー
「あの国家錬金術師、おとなしいな」
「あぁ、あの子供か?」
「誰が豆粒ドチビだーーーっ!!!」
案の定というか予想通りというか、見張りの兵士の無駄話に過剰反応したエドワードが、派手に殴り倒してしまい、すぐに警戒体制をしかれてしまった。
「ここからは、慎重に進まないと」
アルフォンスも、いつものこととはいえ、ため息混じりに云う。
陽が落ち、警備用のライトがついた。それを避け、正門近くまで進む。
「さすがに警備が厳しいな・・」
兵を数えながら、エドワードが呟く。
「あれを突破する気?」
「あそこは、やめた方がよさそうだ。別を探そう。それにーー」
エドワードは門から離れ、司令部の奥に進む。
「実は俺、奴らに捕まった時に銀時計を取り上げられたんだよ。どうせ、国家資格は剥奪だってな」
「どこで?」
「あのデブ将軍の部屋さ。あの建物のいちばん上だ」
司令部の中で、一番奥にある建物の最上階を指差した。
「逃げる前に、取り返さないとな」
「んもう、そういうことは早く言ってよ」
「ほんとだわ」
さすがのエドワードも、建物に侵入してからは慎重に行動した。
最上階まであとひと息というところまで来た時、前から歩いてくる兵士に気づき、非常階段に隠れる。
すると、逆方向から、別の兵士が慌てた様子で走ってくる。
「どうした、何かあったのか?」
「出動命令だ。1班から5班までは引き続き脱走者の追跡を。残りは直ちに出動準備にかかれ」
「出動?こんな時間にか?」
「ヴィルヘルム教授に、逮捕状がでたんだ。それから、教授の娘を強制連行してこい」
「ーーなんだとぉ!?」
逮捕状と聞いたエドワードが、思わず大声を上げる。
「ばっーーに、兄さん!!」
「むーーそこに誰かいるのか!?」
兵士が近づいて来る。逃げようとしたのだが、体駆の大きいアルフォンスがあっけなく見つかった。
「ぁあ!お前らは!?」
「げっ、しまった!!」
「しまったじゃないよ、もう!!」
「ほら、逃げるわよ!」
「おい、准将に知らせろ!!」
階段を上り切ると、階下を見る。追ってくる様子はない。
恐らく。応援を呼びに行っているのだろう。
「教授に逮捕状だと?いったいどういうことだよ」
「アルモニを連行するとも言ってたよね」
「とにかくグズグズしていられない。アル、エリス、急ごう」
「うん」
.
