第8章 白い羽根の加護
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一方ネムダは、失ったキメラを補充するために、グレタを司令部に呼び出していた。
そのグレタから、思いがけない報告を聞く。
「何っ!?それは本当か!?」
「えぇ、間違いありません。ネムダ准将、私のこの理論ならば『賢者の触媒』をきっと精製出来ますよ」
うふふと、グレタは少女のように笑う。
「で、その『賢者の食卓』を作ったら本当にーー」
「はい、これまでにないほど強力で、従順なキメラを何体も大量に。しかも、短時間で生み出せます。あなた様の悲願、ネムダ王国も、もはや夢ではなくなりますわ」
マスタングの予想通り、ネムダは、自分が王として君臨出来る帝国を作るため、戦闘用キメラを作らせていた。
「ワ、ワシの王国・・このワシが、世界の王にーーーい、急げ!!一刻も早く、その『賢者の宿題』を作るのだ!!」
「もちろん。ですが、そのためにはヴィルヘルム教授の娘、アルモニの協力がどうしても必要なんですの」
「ヴィルヘルムの娘だと?それと錬金術と、どう関係があるのだ」
「色々とーー簡単な話だったんです。アルモニの協力があれば、すぐにでも賢者の触媒は作れたんですよ。
ですが、教授はずうっとそのことを隠していたんです。私にも、それからネムダ准将にも」
「何ぃ!!あやつめ、ワシへの恩を忘れて、『賢者のちゃぶ台』を独り占めする気だったのだな」
「あなたは教授に利用されてたんです。キメラ騒ぎの件だって、ネムダ准将に罪をなすりつけようとしてますよ」
「むがあああっ!!許さん・・許さんぞ、ヴィルヘルム!!ヴィルヘルムを即刻逮捕し、その娘も捕らえろ!!全軍出撃だ~っ!!」
『賢者の触媒』を、何度説明しても正確に理解出来ないネムダに、苛立ちながらも従って来た。
いや、従うとみせかけて利用していただけだが。
それも終わりだ。もうすぐ目的は達成する。
グレタは溢れる笑みを、手で隠す。
これで、あの女を出し抜けるーーー
そこへ、慌ただしいノックの音が聞こえ、兵士が入って来る。
「ネムダ准将!!」
「いきなり何だ、バカ者!!大事な会議中だぞ!!」
怒鳴られた兵士は、姿勢を正す。
「も、申し訳ありません。しかし、緊急事態であります。拘束中であります、例の錬金術師2名と少女が、脱走いたしました」
「ーー!?」
「何んだとぉーー!!なぜもっと早く報告しないか!!」
「す、すいません。3名は依然逃走中、ただいま全軍で追跡中であります」
「全く、この忙しいときにーー軍施設の全ての出口を封鎖しろ。正面入り口は特に厳重に警備するのだ!早くせんかーー!!」
「ははっ!」
「このワシから脱獄とは、小賢しいガキ共め・・・待て!お前らだけでは頼りにならん、ワシも出る。キメラを用意しろ!!」
司令室から出て行くネムダを見送りながら、グレタも策を巡らせ始める。
「邪魔はさせない・・必ず、手に入れるわ。賢者の触媒は、私のものーーー」
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