第8章 白い羽根の加護
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「へっっっくしゅん!!」
冷たいコンクリートの床の上に寝ていたエドワードが、盛大なくしゃみをした。
「おはよう、兄さん。あれ、風邪?」
「牢獄の中は冷えるものね。だから、一緒に毛布を使いましょって言ったのに」
「うるせー」
赤い顔でそっぽを向くエドワードを、ベッドの上で毛布にくるまっているエリスがクスクスと笑う。
「これはだな、どっかの誰かさんが
、俺の噂をしてやがるんだ」
「どっかの」
「誰かさん?」
「あのクソ大佐に決まってんだろ!!あんにゃろ、ゼッテェ許さねえぞっ!!」
「ほんと、大佐も薄情だよね・・ボクはてっきり、助けてくれるもんだと思ってたのに・・・」
昨夜の事を思い返し、エドワードは怒り、アルフォンスは嘆く。
対照的な反応を楽しみつつ、エリスは起き上がって毛布を畳み、ベッドに腰掛ける。
「そうね、2人はずいぶんと信頼していたみたいだったし」
「信頼なんかしてーーいや、ちょっと待てよ」
「どうしたの?」
「ひょっとして、大佐はワザと俺たちを、こんな所に放り込んだんじゃないのか?」
「なぜそんなことを?」
「わからんーーけど、俺たちがここから逃げる方が、きっと大佐には都合がいいんだ。くそっ、俺たちを囮りにでもする気か?」
「じゃあ、しばらくここで大人しくしとくの?」
「バカ言えっ!いつまでもこんなカビ臭い所にいられるかよ。大佐の思惑どおりにならないように、気づかれないうちに逃げりゃいいんだ」
その時、ガチャガチャと鍵を使う音が響く。耳をすますと、キィーーと扉を開ける音がし、足音が近づいて来る。
「しーー見回りが来たわよ」
鉄格子の向こうに兵士が現れ、3人の姿を確認する。
「よし、大人しくしてるな。もう少ししたら、飯を持ってきてやる」
名うての錬金術師とはいえ、所詮子供。そう油断しきった顔で戻って行く。
再び出入り口の鍵が掛けられた音が聞こえると
「ねえ、お腹がすいたわ。味の期待はしてないけど、食べてからにしない?」
「それに、逃げるなら、日が暮れ始めてからにしようよ。今逃げたら、すぐに見つかっちゃうよ」
もう一度捕まったら、こんなゆるい警備じゃすまないだろう。
「そうだな」
「じゃ、決まりね」
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