第6章 謎
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ノイエ・ヒースガルドに滞在して、3日めの朝を迎えた。
朝食が並ぶテーブルで、今日もエーテルフラウを摘んで来て欲しいと、ヴィルへルムは言ってきた。
「あの、ボクたちこの辺には不馴れなんで、アルモニに道案内をお願いしてもいいですか?危ない所へは行きませんから」
アルフォンスの申し出に、ヴィルヘルムは仕方ないと頷く。
エドワードが、 街へ脱線事故の修復の進み具合を確かめに行きたいので、今日は夕方までに戻ればいいかと伺うと、構わないよと素っ気ない返事が返ってくる。
なら、お弁当を持っていきなさいと、マーゴットがサンドイッチを作ってくれた。
アルモニは彼女のことが気に入っているらしく、嬉々として手伝う。
エリスも待っている間、手持ち無沙汰なのか一緒にキッチンへ行った。
「いってきます、パパ」
「あぁ、気をつけて行っておいで」
3人分のサンドイッチと紅茶の入った魔法瓶を持って、グレタと研究室の方へ向かうヴィルヘルムに、アルモニは手を振る。
アルモニを見るヴィルヘルムの顔には柔らかな笑みが浮かんでおり、錬金術を習いたいと言う娘を咎めた時の怒りは、微塵も感じなかった。
そんなヴィルヘルムの態度にホッとしながらも、アルフォンスは
「なかなか研究室に入れてもらえないね、兄さん」
けして邪険にされている訳ではないが、大事な部分には立ち入らせて貰えないーーーそんな、見えない壁のようなものを感じていた。
「・・大詰めなんじゃないか?」
「研究が、完成しそうってこと?」
「・・・・・」
答えたものの黙り込むエドワードを、エリスは探るように見詰める。その時ーー
「エド!アル!エリスーー!!早く行こうよ~!!」
先を歩くアルモニが、此方を振り返って満面の笑みで、叫んだ。
エドワードから、傍にいて錬金術を学べと言われたことが、余程嬉しいのだろう。
「もしそうなら、結果を確かめてからセントラルに行くか」
「うん」
3人はアルモニの後を追った。
街に着くと、まっすぐ駅に向かう。
勝手に改札を抜けて駅舎の窓を叩き、迷惑顔の駅員に復旧作業の進み具合を訊ねるも、期待していた答えは返ってこなかった。
トンネル内の修復が、おもわしくないらしい。
「こりゃあ、思ったより掛かるかもな」
頭を掻きながら、やれやれとエドワードはボヤいた。
「そうね、誰かさんのせいで。ね、アル」
「ほんとだね、エリス。誰かさんのせいで」
2人は、わざとらしく言った。ひとり事情のわからないアルモニが、首をかしげてエドワードを見る。
「誰のせいなの?」
「うっさいな、さっさと行くぞ!」
肩を怒らせて歩いて行くエドワードの後ろ姿に、アルフォンスとエリスは笑いを堪えた。
駅を離れ、中央広場を歩く。
まだ店が開いていないせいか、人影はまばらだ。
「兄さん、街で何をするの?」
「調べたいことがあるんだ」
そう言うと、前から歩いてくる若い男に声を掛ける。
「あんた、錬金術師か?」
「そうだけど、君は?」
「俺も錬金術師だ。ちょっと訊きたいんだけど、ヒースガルドに錬金術師が集まってるって噂、どこで聞いた?」
錬金術師らしき人物を見つけると、エドワードは片っ端から声を掛けた。
ーーあまり効率の良いやり方とも思えないけど
そう思いながらも、エリスは黙って見ていた。
何人かに訊ねると、エドワードは腕をくんで考え込む。
「大体、イーストシティー辺りでみんな聞いたみたいだな」
「じゃあ、やっぱりあのガンツって大佐が噂の出所なのかな?」
「多分な・・でも、アイツがーーーと組んでる様にも見えねぇんだよな・・」
アルモニに気を使い、エドワードはヴィルヘルムの名前を伏せた。
「そうね、あの軍人とじゃ教養が違いすぎる。不釣り合いだわ」
「首謀者は他にいるか・・・ん~もうちょっと情報がーー」
どうしても、あの噂が引っ掛かっていた。錬金術師を意図的に集めるような噂。
何のために集めるーー?
集めて何をするーー?
エドワードが眉間にシワを寄せて考えを巡らせていると、前から見知った顔が歩いて来る。ゲルプ3兄弟だ。
「あ」
アルフォンスが最初に気づき、声を上げた。
「おっ!」
ちょうどいいと、エドワードはニヤリと笑う。
「ゲッ!!」
3兄弟は露骨にイヤな顔をした。
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