第5章 エーテルフラウ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
エドワードが歩き出すと、引き止めるようにアルモニが叫んだ。
「エドーーっ!!」
振り返りもしないエドワードに、アルモニは地団駄を踏む。
「何よ、エドのケチ!!」
「ごめんね、アルモニ。ボクも、兄さんがこんなに薄情だなんて、思わなかったよ」
慰めるアルフォンスの声を聞きながら、 エリス はエドワードに追いつく。
「・・教えてあげればいいのに」
肩を並べたエリスが言うと、エドワードはピタリと立ち止まる。
「そういえば、俺たち、アルモニがひとりで勝手に勉強するのを止めろと言われてないよな、エリス」
聞こえよがしに言ったエドワードの意図に気付き、エリスは微笑する。
「・・・そうね、エド」
「そんなに術を学びたいなら、まずは独学でやってみろよ。俺たちの後に着いて来るだけでも、いい勉強になるぜ」
「エド・・それって・・」
「そういうことよ、アルモニ」
振り返ったエリスが、アルモニとアルフォンスを見て笑う。
「ありがとう!エド!!」
「ふん、行くぞ」
鼻を鳴らしたエドワードは、そのまま大股で歩き出す。
翻る赤いコートに、アルフォンスはガチャガチャと音を立てて、走り寄る。
「なんだよ兄さん、いいとこあるじゃない。ホント素直じゃないんだから」
アルフォンスは嬉しそうに言った。アルモニも、エリスと一緒について来る。
「バーカ、そんなんじゃねえよ。こんな所に、アイツひとり置いてけないだろ。
いっくらキメラに襲われないからって。それに、花の場所にも詳しそうだから、連れて行くほうが便利だと思ったんだよ」
ついている悪態は、兄の照れ隠しだと云うことを、アルフォンスはよくわかっていた。旅の途中で面倒に巻き込まれるのも、結局は優しさの裏返しなのだ。
「ふ~ん・・じゃ、そういうことにしとくよ」
「なんだよ、そういうことにしなくても、そうなんだよ。サッサと行くぞ、アル」
「はいはい」
本心を見透かされ、エドワードは歩調を速めた。
「ねえ、アルモニ。君がこの辺をウロウロしてたのって、やっぱりエーテルフラウを摘むためだったの?」
アルフォンスの質問に、アルモニは頷く。
「うん、そうよ」
「あの花を使って、錬金術を試していたのか?」
「うん・・・」
ヴィルヘルムは、花は自分で摘んでいると言っていた。ならば、崖をよじ登ってまで摘んだエーテルフラウは、アルモ二が使っていたのだろう。
「あんな効果の高い物で?危険じゃない?万が一ってこともあるわ」
「パパのお手伝いがしたくて・・・あたし、パパに怒られてばかりだから 少しでも役に立ちたいの」
エリスはリバウンドのことを言っているのだが、腕も知識も未熟なアルモニは、その恐さを、理解していないようだ。
そうこうしているうちに、一昨日、アルモニと劇的な出会いをした場所へ着いた。
「は~い、到着っ!この辺が、いちばんたくさん花が咲いているポイントなの」
「ほほう・・・なるほど、どの辺が咲いてるポイントだって?」
「だから、そこら中一帯にーーあれ?あれえ?」
アルモニは首をひねって辺りを見渡すが、エーテルフラウは、一輪も咲いていない。
「そんな、どうして!?おとといまでは、たくさんたくさん咲いてたのに!!」
「場所を間違えたんじゃない?」
「そんなことないよ。きっと、他の錬金術師が、根こそぎ摘んじゃったのよ。エーテルフラウは、この地域の術師の間じゃ、需要も高いから」
「先客がいたんじゃしょうがない。他に行こうぜ。アルモニなら知ってるんだろ?」
「ん~~ここ以外だと、あんまりいい所ってないよ。でも、仕方ないか」
しばらく思案した後、アルモニは、来た道を戻り出した。
.
