第5章 エーテルフラウ
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翌朝、いい加減起きて兄さん、とアルフォンスに起こされたエドワードは、少し不機嫌な顔で部屋を出た。
食堂へ行くと、朝食を済ませたエリスがお茶を飲んでいる。
「おはよう、エリス」
「おはよう、アル。エド、ずい分朝寝坊ね」
「はよ。ちょっとな・・・」
呆れ顔で言うエリスに、エドワードは言葉を濁す。
「あなたが起きたら出すようにって、頼まれてたのよ」
キッチンへ行くと、少しして朝食をのせたトレイを手に、戻ってくる。
「はい。オムレツは冷めちゃったけど、トーストとスープは温かいわよ」
「サンキュー」
エドワードの前にトレイを置くと、向かいに腰を下ろした。
「美味い!」
オムレツをひとくち食べたエドワードが、思わず叫んだ。
「でしょ」
「エリスが作ったの?」
アルフォンスの問いに、エリスは笑う。
「まさか。マーゴットさんよ、作ったの。彼女、秘書って言ってたけど、住み込みで食事の世話もしてるんですって。夕べの食事も、彼女が作ったそうよ」
「ふ~ん」
「美人で仕事が出来て料理上手かぁ~。なんだか、ホークアイ中尉みたいだね」
「ホークアイ中尉?」
「でも、中尉の手料理なんて、食ったことないぜ」
「でも、上手そうじゃない?」
アルフォンスは、カラになった食器を持って、キッチンに行った。
「ねぇ、ホークアイ中尉って?」
エリスが質問しかけた時、扉が開きグレタが顔を出す。
「エドワード君、アルフォンス君、ちょっと書斎に来てくれないかしら。あ、エリスちゃんも」
一方的に告げると、グレタは引っ込んでしまった。
グレタの声が聞こえたのか、アルフォンスがキッチンから戻って来た。
「どうしたの?」
「教授が呼んでるみたいだ。行ってみようぜ」
廊下を歩きながら、改めて庭園を眺める。
城が建っているだけあり、流石に敷地面積は広大だ。
門を入った客を出迎える、中央庭園。それに、城の窓から眺められる中庭。その間にある植物園。
だが、残念なことに、雑草がのびてあれ放題になっている。手入れをすれば、さぞや見目のいい庭園だろう。
「庭師を呼べばいいのに」
「アルモニが、頑張ってるみたいだけど・・・」
残念そうにエリスが言うと、昨日、アルモニが世話をしていた姿を見ていた、アルフォンスが答えた。
「この広さじゃ無理だろ。錬金術でも使えばともかく」
「だから、教えてくれって言ったのかしら?」
「さあな」
頭の後ろで指を組んだエドワードが、興味なさげに言った。
大量の書物に囲まれた書斎に、ヴィルヘルムは3人を迎え入れた。
壁に沿ってぐるりとある棚には、高名な術師が残した研究書や古書が、几帳面なヴィルヘルムらしく、キチンと収まっている。
しかし、棚の大半を占めているのは、自身の研究書だ。
応接室に比べ、随分とこぢんまりしたソファーに腰を下ろすと、ヴィルヘルムは、早速用件を切り出す。
「急に呼び出したりして悪いね。実は、君たちに頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
「あぁ。この花を、出来るだけたくさん摘んできてくれないかな」
文机の上にのった花瓶に生けてある、白い花を指差した。
「あれ?この花ってーー」
それは、アルモニが危険を冒してでも摘んでいた白い花だった。
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