第1章 トレインジャック
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「錬金術師!?」
ひとりの賊が、ズボンのポケットから、錬成陣の描かれた布を引っ張り出す。
「む!?」
それに気付いたアームストロングは、錬成陣が描いてある手甲で、座席の背もたれを殴る。
車両の中程にいるアームストロングが放った拳(けん)は、次々と座席を破壊し、それらで再構築された拳(こぶし)の形をした物が、男の鳩尾を直撃した。
「うっ!!」
弾き飛ばされ、強かに身体を打ち付けた。
「甘いわ!」
あっという間に賊を倒したエドワードとアームストロングに、エリス は声も出ない。
「やっぱ呪われてんだ、俺たち」
「憑かれてんじゃない?」
がっくりと肩を落とす兄に、アルフォンスは近寄った。
「何に!?」
そこへ、新たな賊が姿を見せる。
「どうした、わっ!!」
目の前を塞ぐ巨体に、動きが止まる。すかさず、アルフォンスは当て身を喰らわせた。崩れ落ちる賊を見ながら、どこか楽し気に言う。
「こういう人たちにーーさ」
革命とは名ばかりの強盗のようなトレインジャックを見下ろし、エドワードは大きく息を吐き出した。
「しゃーない。少佐、後ろの方を頼むよ。なんか爆発してたみたいだし」
「うむ、了解した」
「なんか、過激派の中に錬金術師が混ざってるみたいだし。お互い気をつけるってことで」
エドワードは、賊のひとりが落とした布を摘み上げる。
それを見た、アームストロングの表情が引き締まる。
「肝に命じよう」
彼とは逆に、エドワードには笑みが浮かんだ。
「よし、行くぜ!!」
「ちょっと待って!!」
意気込んで、車両から出ようとした2人を、 エリスが呼び止める。
「あ?何だよ、 エリス 」
出鼻を挫かれたエドワードは、不機嫌な顔で振り返った。
「何だよじゃないわよ。私を、ひとりでここに置いて行く気?」
「でも、 エリスさん。一緒に行く方が危ないんじゃ」
アルフォンスがそういうと、 エリスはのびている3人の男たちを指差した。
「こいつらが、目を覚ます方が危ないわよ」
「うむ、一理あるな。では、我輩と一緒にーー」
「せっかくですけど少佐。私、エドワード君と一緒に行きます」
「しかし」
「彼に、興味があるんです」
「へっ!?」
意味深長なエリスの言葉に、エドワードは目を見開いて固まった。
にっこり笑い自分を見上げる彼女を、アームストロングも無言で見つめる。
爆発は後方で起こっている。のびている輩が身につけている宝飾品は、前方の一等車両の乗客から巻き上げたものだろう。
残りは、機関士を脅している者が、2、3人いるだけであろう。ならば、ここに残るより、兄弟といる方が安全か。それにーーー
シャムシッドでのことを、忘れられるやもしれん
「では、エドワード・エルリック。 エリス殿を頼んだぞ」
「ちょっーー少佐!!」
アームストロングは、踵を返すと後方の車両に向かって歩き出す。
「ったく、しゃーないな。んじゃーいつかの時みたいに、アルは下から。俺は上からってことで」
「うん、分かったけど・・」
心配気に エリスを見る。
「 エリス は、アルと一緒だ」
「どうして?エドワード君と一緒でいいじゃない」
キョトンとしている エリスに、エドワードは大袈裟にため息をつく。
「あのなぁ、俺は上から。列車の屋根に上るんだぜ。お前には無理だろ」
腕を組んで渋い顔をすると、 エリス は腰に手を当て
「あら、そのくらい平気よ。それに・・」
「何だよ」
エドワードに顔を寄せると、口説き落とすように囁く。
「私、犯人の心当たりがあるんだ」
離れようとしたエリスの肩を掴むと、鼻がつく程引き寄せた。
「誰だよ!?」
「連れて行ってくれたら、教えてあげる。等価交換よ、錬金術師さん」
思いがけなく、 エリスの唇が妖艶な弧を描き、ゴールドとグリーンのヘーゼルのオッドアイが、吸い込むようにエドワードを見つめた。
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