第5章 エーテルフラウ
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潜り込んだベッドの中で、目を開けた。寝返りを何度かうってみるが、睡魔の訪れる気配はない。
どこでも眠れるはずなのになーーー
エドワードは、のっそりとベッドから起き出した。
「あれ、兄さん。まだ夕飯の時間じゃないよ」
ソファーに座って本を読んでいたアルフォンスは、顔を上げた。
「う~ん・・ちょっと散歩してくる」
エドワードは、その問いに少し不機嫌そうな顔で髪を掻き、答えた。
いってらっしゃいと送り出され、迷いながら中庭に出た。
散歩なんてガラではないが、夕べの疲労を訴える身体とはうらはらに、冴えていく頭を落ち着かせるように、ゆっくりと庭を歩く。
ふと、花壇の前で、足を止めた。咲いているオレンジや黄色の小さい花々がなんとなく気になって、しゃがみこんだ。
「好きなの?マリーゴールド」
「え?」
不意に聞こえた声に振り返ると、エリスが立っていた。
「なんで・・おまえ、マリィのこと知ってんのか?」
「だってこれ、マリーゴールドでしょ?」
エドワードの問いに、エリスは意味がわからないと思いながら、彼の隣にしゃがんだ。
「これがーーマリーゴールド?」
「そうよ。かわいいわよね」
そう言って、 エリス はマリーゴールドの花びらに指を添える。エドワードは、彼女が指で玩ぶ細い花びらを、じっと見つめた。
ーーーエド
甘い香りが漂い、優しい声が自分の名を呼んだ気がした
「この花、面白いのよ」
「面白い?」
「面白いって言うか、すごいって言うか。この花を病気になった土に植えるとね、土の病気を治してしまうんだって」
「土の病気を、治す?」
「えぇ。生命力も強いし、花もたくさん咲くのよ」
ーーーお母さんが好きな花の名前なの
娘の健康を願い、つけた名前
「そう・・か」
エドワードは急に立ち上がると、屋敷へ歩き出す。
「エド?」
急ぎ足で立ち去る彼に、訳がわからないと、#エリスは#立ち尽くした。
「あらぁ、ふられちゃったんですか?」
「グレタ・・・」
振り返るまでもなく、愉し気な声の主はわかった。エリスは冷めた声で、彼女の名を口にした。
荒々しい足音が聞こえたと思うと、乱暴にドアが開いた。驚いているアルフォンスの前を、エドワードは大股で横切り、浴室へ入っていった。
「兄さん、何かあったの?」
脱衣所を覘くと、エドワードが勢い良く服を脱いでいる。
「なんでもない。あ、汗掻いたから、シャワー浴びたくなっただけだ」
「そう・・もうすぐ夕飯だからって、さっきマーゴットさんがーー」
「わかった。すぐに出るよ」
エドワードの右腕のオートメールが、金属音を立ててバスルームのドアを開ける。
ーーー兄さんが泣いてる
アルフォンスは気がつかないふりをして、また、本を読み出した。
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