第5章 エーテルフラウ
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「ねえ、兄さん。教授の話、どう思う?」
アルフォンスは、エドワードがソファーの上に脱ぎ捨てたコートを、ハンガーにかけながら尋ねる。
エドワードは、ベッドルームでトランクを開け、汚れた衣類を出していた。明日、洗濯させてもらうつもりだ。
「そうだな・・まだ半信半疑ーーかな。他にも、絶対俺たちに隠してる事がある気がする」
「だよねえ・・・それで、これからどうする?色々と調べる時間はあると思うけど」
アルフォンスは脱衣所兼洗面所から籠を持ってくると、エドワードが出した衣類をそれに放り込んだ。
エドワードはトランクを閉めると、う~んと小さく唸りながら伸びをする。
「とりあえず、教授の研究の手伝いでもさせて貰いながら、考えるよ」
「触媒法なら、賢者の石の研究にも近いだろうしね。そっちでも、何か勉強になるかもしれないしね。そういえば、アルモニには教えてあげないの?錬金術」
「教えるなって、教授に言われただろ」
「それはそうだけど・・・」
一旦、脱衣所に籠を置いてくると、アルフォンスは窓に近づいた。
「なんか、ちょっと・・かわいそうで・・・」
窓の下に見える中庭の花壇に、アルモニの姿があった。
水をあげたり、雑草をとったり、甲斐甲斐しく花たちの世話をしている。
「教授には、教授の考えがあるんだろうし、俺たちが出しゃばっちゃダメだろ」
エドワードは、もそもそとベットに潜り込んだ。
「アル、俺、今から昼寝するからーー夜になったら、起こしてくれ」
「はいはい。おなか出して寝ちゃダメだよ、兄さん」
エドワードが背中を向けると、アルフォンスはリビングにある書棚から本を一冊手に取ると、ソファーに座り読み始めた。
「あんな子供が、国家錬金術師?」
ヴィルヘルムの説明に、グレタは眉を顰めた。
「あぁ、君も、噂くらいは耳にしたことがあるだろう。エルリック兄弟、とりわけ、兄の鋼の錬金術師といえば、かなり名の通った術師だからな」
国家資格をとった子どもがいるーーー
・・
随分前に、彼女がそんなことを言っていたっけ
「ふうん・・・あの子が、鋼の坊や・・・どうりで・・・」
グレタは、何かを思い出したように、楽し気に唇の端を上げる。それに気づかずに、ヴィルヘルムは続けた。
「弟子はとらない主義のイズミが、引き取っただけのことはある。2人とも、かなり優秀な術師だ」
それを聞いて、にっこりと微笑んだ。
「そんな優秀な術師なら、私たちの研究にも役立ってもらえそうですね」
「まさか、君はあの子たちをーー」
「つまらない情は捨てて下さい、教授。あなたが、いちばん大事に思っているのは、あの子たちじゃないでしょう?」
さっと青ざめたヴィルヘルムの顔を一瞥したが、あっさりと一蹴する。
「ここで、この話しはまずい。一度、研究室に戻るぞ」
シンと静まり返る屋敷の廊下を歩きながら、グレタは前を歩くヴィルヘルムの背中に話しかける。
「あの2人を利用出来たら、飛躍的な成果が期待できますね、ヴィルヘルム教授」
「・・・・・・」
意気揚々と歩くグレタと対照的に、苦しい表情で口を噤むヴィルヘルムに、彼女は益々笑みを深くした。
去っていく2人を、廊下の影でマーゴットが見ている。
ーーそのマーゴットの遥か後ろに、 エリスの姿があった。
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