第5章 エーテルフラウ
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「パパ、この人たちよ!この人たちも、スッゴイ錬金術師なの!!」
アルモニに次いで現れたのは、恐れていた通り、ヴィルヘルム教授その人だった。
銀色の長い髪をキレイになでつけ、茶色の上質なスーツの上に、インバネスコートを着ている。
入って来たヴィルヘルムは、3人を見渡した。
「そうか・・・話は聞いたよ。娘が世話になったようでーーん?」
「は、はは・・どうも・・」
気付かれたと思ったエドワードは、ぎこちない笑みを浮かべた。
だが、ヴィルヘルムの視線は、エドワードではなく、エリスに向いている。
「エリス・ハーディじゃないか。久しぶりだね」
懐かしむ中に、困惑が混ざった表情で話し掛けた。
「ヴィルヘルム教授、お久しぶりです」
エリスは、にこやかに挨拶を返す。
「そっか・・ エリスは、教授とも親しいんだったっけ」
「エリスのおかげで、俺たちのことに気付かなかったな」
「そうかな?」
「そうだよ」
「でね、パパ。あたし、この人たちから、錬金術を習うことにしたんだ」
「へ?」
ーーーいつそうなったんだよ?
エドワードは驚きに目を剥いた。
「錬金術を?何を言ってるんだ。術は、教えないと言っただろう」
「パパに習うわけじゃないよ。パパの研究の邪魔はしないから。ね、いいでしょう?」
「ダメだ」
腕を掴んで懇願するアルモニに、ヴィルヘルムはきつい眼差しを向けた。
「どうしていつもダメなの?どうして、あたしは錬金術を勉強しちゃいけないの?」
「どうせ、お前に術は使えない。習うだけムダだから、諦めるんだ」
「そんなこと、やってみなくちゃ分からないじゃない!」
「とにかく、錬金術だけは絶対にダメだ。君たちも、アルモニに術を教えないように。いいね」
一方的に告げるヴィルヘルムに、3人は顔を見合わせる。
「パパの意地悪!街の人にもそう言って、あたしに術を教えないようにしてるんでしょ!?」
「アルモニ、私は3人と大事な話がある。お前は、部屋に戻っていなさい」
「待ってよパパ。まだーー」
「パパの言うことが聞けないのか?」
荒げた声に、アルモニは委縮する。
「・・・・じゃあ、お話が終わったら、すぐに呼んでね・・」
「あぁ・・」
「・・またあとでね」
「アルモニ、元気出して・・」
しょんぼりと肩を落として応接室を出て行くアルモニに、アルフォンスは小さく手を振った。
アルモニが出て行くと、ヴィルヘルムはエドワードたちに向き直った。
「まさか、君たちとは・・・驚いたな。久しぶりだね。確か、イズミの弟子の、エドワード・エルリック君だったね。エリスの知り合いだったのかね?」
「ちぇ、やっぱ覚えてたか。久しぶり、ヴィルヘルム教授。エリスとは、昨日知り合ったんだ」
「セントラル行きの、列車中でーーね」
エリスはヴィルヘルムを見て、意味あり気に肩を竦める。
「にしても、ずいぶんあの子に厳しいじゃん」
事故の原因を蒸し返されては適わないと、エドワードは話題を変えた。
「そんなことは、君には関係ない。それより、そちらの鎧の方を紹介してくれ」
2人の後ろに立っている、鎧に視線を向ける。
「あ、弟のアルフォンスです。教授、お久しぶりです」
アルフォンスは、音を立てて頭を下げる。
「君がアルフォンス君・・・?」
ヴィルヘルムは、訝し気にアルフォンスを凝視した。
エドワードの腋の下に、冷たい汗が流れる。
「そうか、話はアルモニから聞いたがーーいや、まずは、礼を言うのが先だな。危ないところを2度も助けてくれたそうだね。ありがとう。アルモニは、君たちが気に入ったらしい」
鎧の中がからっぽだとバレなかったことに、エドワードとアルフォンスは、ホッと胸を撫で下ろした。
「だが、約束してくれ。くれぐれも、あの子に錬金術を教えないでくれ」
執拗なまでに言うヴィルヘルムに、3人は視線を絡ませる。
「ま、それは別にーーもともと教える気もなかったから、構わないけどさ」
「だけど、どうしてそんなに反対してるんですか?」
アルフォンスの疑問に、ヴィルヘルムの表情は、いっそう険しいものになった。
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