第5章 エーテルフラウ
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「ここが、あたしの家よ。遠慮なく寛いでいってね」
そう言ってにっこり笑ったアルモニに、エドワードはあんぐりと口をあけた。
「寛げって・・・お前、ここ家っていうより・・・」
「お、お城だね」
「ま、そうとも言うかな。部屋はいくらでも余ってるから」
事も無げに言うと、アルモニは門をくぐった。
「ほんとに、住んでる人がいたのね」
案内されたのは、ノイエ・ヒースガルドに向かう途中で見えた古城だった。
高く頑丈な城壁をぐるりと廻り、ロートアイアンの門をくぐると、長いアプローチが3人を出迎えた。
アプローチの両側には、花々が咲き乱れる花壇が広がる。
城壁の近くは、高い木々が葉を揺らして、涼やかな風を送っていた。
それらを眺めながらアプローチを抜け、重々しい扉を開き屋敷の中へと入った。
「世の中には、すごいお金持ちがいるもんだね、兄さん」
「まったくだ。アルモニ、お前のパパは、王様か?」
足音がしないほど、厚い絨毯が敷かれた廊下を歩きながら、マジメな顔でエドワードは尋ねる。
「まさか。パパも錬金術師だって言ったでしょ。廃墟になった古城を安く買って、自分で直したの」
一頻り笑ったあと、アルモニは答えた。
「へえ・・・大した腕ね。これだけの物を錬成するなんて・・」
感心するエリスに、アルモニは笑顔を向ける。
「パパも、結構有名な術師のはずよ。ヴィルヘルム・エイゼルシュタインっていうんだけど。聞いたことない?」
「え?」
「「ヴィルヘルム・エイゼルシュタイン!?」」
エリスは目を見張り、エドワードとアルフォンスは声を揃えて叫んだ。
「やっぱりあるんだ!じゃ、この部屋で待っててね。すぐにパパを呼んで来るから」
「お、おいっ、ちょっと!!」
3人を応接室に案内すると、アルモニは嬉しそうに廊下を走って行く。
高級な調度品と、上質な革張りのソファーがある部屋に残されたエドワードとアルフォンスは、顔を見合わせた。
「アル、聞いたか、今の?」
「まさか、ここがヴィルヘルム教授の家?セレネの他に子供がいたなんて、聞いたことがなかったけど・・ エリスは知ってた?」
アルフォンスが問いかけるが、 エリス は茫然とした顔で、アルモニの姿が消えたドアを見つめている。
「エリス?」
「え?あ・・私も初耳よ。だから、驚いているの・・・」
再度問いかけると、エリスは返事を返した。
「とにかくマズい。マズいぞ、アル。このままじゃ、教授と鉢合わせだ。やっぱり逃げよう」
「待ってよ、兄さん。ここまで来たら、覚悟を決めようよ」
そう言って、踵を返す、エドワードの赤いコートのフードを掴む。
「どうせ、色々気になることがあったんだし。この際、教授に会って話を訊いて、全部スッキリさせようよ」
「スッキリか・・・けど、俺たちのことが、師匠にバレちまうんだぞ」
「それは・・・師匠に連絡を取らないように、教授に必死でお願いして??」
「バカ言えっ!!リスキーすぎるっ!!いいから、とにかく今は逃げるぞっ!!!!」
「もう、手遅れみたいよ」
言い争う2人を、エリスは止めた。
「何?」
エドワードが振り向くと、背後でガチャリと音がして、静かにドアノブが廻った。
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