第4章 錬金術師が自治する街
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「もう逃げられねーぞっ、このやろう!!」
数十メートル走ったところで、男は呆気なく捕まった。後ろから飛びかかったエドワードが、馬乗りに押さえつける。
「くそう・・・この軍の狗やろうめ!!」
「またそれか。まったく、トコトン嫌われる存在らしいや」
軽い諦めのため息と共に、ポケットから銀時計を取り出す。
そこへ、アルフォンスとエリスが歩いて来た。
「もう1人の男は?」
「あ」
エドワードがこの男を捕まえている隙に、ブラオという錬金術師は逃げたようだ。
「もう一度聞くけど、おじさんたちどうしてボクたちにケンカを売ったりするの?」
「う、うるせいや!!お前らこそ、ここに何しに来やがった!!誰の命令だ!!」
「命令?よくわからないけど、何か誤解してるらしいってのは、分かってきたね」
「やっぱりそういうことか」
エドワードは立ち上がった。
「言っとくけど、俺たちは別に軍の人間として、ここに来たんじゃないよ。あんたたちがどんな悪さをして、怯えているのか知らないけどさ。俺は別に、そんなの興味ないから」
「だ、だまれ!軍の人間なんか信用できるか!!」
男は地面に座り込んだまま、エドワードを睨み付ける。
「あの、ボクたちは本当に、ただの通りすがりですよ。列車に乗りたいだけなんです」
「駅の場所を教えてくれたら、黙って出て行くってば。俺に突然ケンカを売ってきたのも、忘れてやるよ」
「なっ、何をっ・・・騙されるもんかっ。お前ら、この街からタダで出られると思うなっ!」
「話の分からない人ね」
拳を振り上げ、尚も悪態をつく男に、エリスは冷たい視線を送った。その時、辺りを見渡していたアルフォンスが、あるモノに気付いた。
「あれ?なんだ兄さん、この扉の先が駅みたいだよ。よく見たら書いてある。ほら」
ーこの先 ノイエ・ヒースガルド駅ー
アルフォンスが指差した先に、駅への道案内の看板が見える。看板は、固く閉ざされた扉の上にあった。
「あの場所じゃ、見えないわね」
おそらく、いち番聞きたくないーーを揶揄する言葉を、エドワードは聞こえないフリをした。
「おお!でかした弟!!これで分かったろ、俺たちは無害な人間だよ。じゃなっ」
「さよなら、おじさん」
「ごきげんよう」
片手を上げて、颯爽と歩き出したエドワードの後に、2人は続いた。
「まてっ、そうはいくか!!」」
3人を押し退けると、扉を開閉する、クランクを素早く外した。
「なっ・・!」
「クランクは外した。これでもう、この扉は開かない!」
「なにぃ!?」
「軍は俺たちの敵だ!絶対生きて帰すものか!どけえっ!!」
「きゃっ!!」
エリスを突き飛ばし、男は三度(みたび)逃走した。
「 エリス !んにゃろ~~~1度ならず2度までも、この俺様から逃げようとは・・・このエドワード・エルリック様が、全身全霊をもって追い続けてやるわ。ド畜生めぇーーーッ!!」
疾風怒濤のごとく追いかけていく後ろ姿を、唖然と見送る。
「少佐が移った・・・」
「え?」
「ううん、何でもない」
立ち尽くしす2人の元へ、あっという間にエドワードは戻って来る。
「早かったわね」
「やっぱり、兄さんの敵じゃなかったか」
「当たり前だ、行くぞ」
取り戻したクランクで、意気揚々と扉を開けた。
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