第4章 錬金術師が自治する街
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「なんだか人気がないけど、こっちが駅で、間違いないのよね」
「そのはずだけどーーーん?また変な奴らが近づいて来たぞ」
「なんだか殺気立ってるみたいだね」
やって来たのは、先程エドワードにぶつかった男だった。
だが1人ではなく、黒い短髪に青いシャツを着た男と一緒だ。青いシャツの男がしている白い手袋に、錬成陣が描いてある。
それを目ざとく見つけると、アルフォンスを肘でつついた。
アルフォンスはさり気なくエリスの斜め前に立つ。
見るからにごろつきの男2人は、行く手を阻んで立ち止まった。
「なんだよ、おっさん。俺たちに何か用?」
「・・・・・・・」
エドワードの問いかけに、青いシャツの男は無言だ。すると、先程の男が甲高い耳障りな声で喚き出す。
「え?あいつらを叩きのめす?聞いたかお前ら!兄貴がお前らを叩きのめすってよ!」
「・・・・・」
「え?あいつらを生きて帰すな?くくく・・どうする国家錬金術師!兄貴は大層ご立腹だぜ!」
「はぁ・・・」
「・・・・・・・」
「おおお!マジですか兄貴!?どうやらお前らは、兄貴を本気にさせちまったよーだな!」
何も言っていないように見えるのだが、男は目を見張り、大袈裟な身振りで話す。
少しイラついた顔で、エリスは呟く。
「・・・回りくどいわね」
「兄さん・・」
「こいつら、大道芸人かなんかじゃないのか?こういう芸なんだよ。付き合ってらんねえや。行こうぜ、アル、エリス」
2人を無視すると、歩き出した。アルフォンスとエリスも後に続く。
「・・・・・・・」
「おいコラぁ!! 俺たちをナメるなと兄貴が言ってのが、聞こえないのかてめえら!!」
喚き散らすが、3人は構わず歩いて行く。そこへ、わらわらと仲間がやって来るのが見えた。
「あの生意気なガキどもを逃がすな!捕まえろ!!」
ごろつきに挟まれ、3人は立ち止まる。
「わわわっ、兄さん!!」
「ったくなんだよ。うっとーしい連中だな」
頭を掻きながら、エドワードはボヤいた。
「ブラオの兄貴の力を、思い知るがいい!」
ブラオが地面に手をつくと、突然、足下から氷柱が迫り出してきた。
「コイツ!錬金術師か!」
はだけたシャツから見えるタトゥーが、錬成陣らしい。空気中や、土中の水分を凍らせる錬金術を使うのだろう。エドワードとアルフォンスは身構えた。
「・・・・・・・」
無言で錬成される氷を、オートメイルの拳と鎧の蹴りが、次々と壊していく。
「このっ!」
エドワードの拳が、ブラオの顔面にヒットした。
「ーー!!」
「ああ兄貴ぃっ!!だだだ大丈夫ですかっ!!」
「・・・・・・・」
手下というより腰巾着の男は、膝をついたブラオに駆け寄り、悔しさに拳をわなわなと震わせる。
「ちっ、ちくしょう・・まさか兄貴に悲鳴を上げさせるとは、やるじゃねえか国家錬金術師」
「・・・・・・・」
「え?俺たちはまだ負けてない?分かってますよ兄貴!!」
「おじさんたちは何者?どうして、ボクたちにケンカを売ってくるの?」
「う、う、う、うるさいっ!く、く、来るな、許してくれーーっ!!」
「・・・・・」
手下が駆け出すと、ブラオも無言で走り出す。
「あ、逃げた」
「んなっ!?逃がすかっ!!こぉの待ちやがれーーっ!!」
「ちょっと、エドっ!!」
追いかけて行く赤いコートを見ながら、アルフォンスはヤレヤレとため息をつく。
「もう・・・ほっときゃいいのに。誰かが逃げると、本能的に追い駆けてっちゃうんだから」
「犬?」
「あはは・・まぁ、ある意味ね」
歯に衣着せぬ物言いに、アルフォンスは乾いた笑い声を出した。
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