第4章 錬金術師が自治する街
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「つ・・・いてててて・・このクソガキ!!どこに目えつけてやがる!!」
エドワードとぶつかった男は、大袈裟に肩を掴んでよろめいた。
アルフォンスは両手を前で組み、慌てて頭を下げる。
「うわっすみません。ほら、兄さんも早くあやまって」
頭を下げたまま謝罪を促すが、エドワードは腕を組んで男を睨んだ。
「ぶつかってきたのはそっちだろ。何で、俺が謝る必要があるんだよ」
「私も見てたわ。あなたが余所見をしてたんじゃない」
「何だと?このガキ~」
口元を歪ませて、エドワードに近寄る。
「おいこら、この俺様を誰だと思ってーーん?」
男は目深に被っていたフードを上げようとした。が、エドワードの赤いコートの隙間から鈍く光る物を見つけ、ギョッとした。
「おっと、いけね」
いつの間にかズボンのポケットから出ていたそれを、徐に掴む。
「い、い、い、いまのーー大総統の紋章に六芒星の!?」
軽く引っ張ると、つなぎ目がズレて外れそれになった。
「あちゃ、やっぱ鎖が弱ってる。あとで強化しとかなきゃ」
「きっきっきっ、今日のところは見逃してやる!つ、次からは気をつけろよ!!」
急に怯えた目をしたかと思うと、慌てた様子で何処かへ走り去って行く。
それを見送りながら、アルフォンスが呟いた。
「・・・行っちゃったよ」
「何だったの?」
「さあ」
ワケがわからないと、エドワードは肩を竦めた。
捨て台詞を残して走り去ったフードの男は、広場を抜けて路地裏に入ると一軒の家に入った。
ドアを開けると、真新しい家に似付かわしくない野卑な男たちが数人、リビングでゴロ寝していた。
周りには酒瓶が転がっており、酒とすえた臭いが充満している。
男たちは、入って来たフードの男に、面倒臭そうに身体を起こした。
話しを聞くと、忌々しげにテーブルを叩く。
「何だとっ!?・・・・クソッ、軍の狗が何しにきたんだ」
「そ、そいつはわかんねえけど、偶然ここに来たとは思えねえ。早いとこ何とかしねえと!」
「相手はガキなんだろ?俺たちが力を合わせりゃなんてことねえよ!」
タトゥーを身体のそこかしこに彫った男が嘲笑うが、フードの男は
「バカ!!甘くみんな!ここは、ブラオの兄貴を呼ぼう。兄貴なら、何とかしてくれるはずだ!」
「あぁ、それがいい。ブラオの兄貴なら、絶対ビビッたりしねえよ」
「俺が、ひとっ走りして呼んでくる」
褐色の肌にスキンヘッドの男が立ち上がった。
「おう!軍の狗野郎が・・・俺たちの街に来たことを、後悔させてやるぜっ!」
拗ねに傷を持つ連中だが、自分たちの保身の為の結束は固いようだ。
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