第4章 錬金術師が自治する街
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箱庭
「ねえ、あれがそうじゃない?」
教会を出発して2時間。目指すノイエ・ヒースガルドの街が見えてきた。
ノイエ・ヒースガルドに行くには、いち度鉱山まで戻り、裾野沿いの道を歩かなければならなかった。
ノイエ・ヒースガルドは旧ヒースガルドより低地にあるため、裾野から街全体がよく見渡せた。
3人は、街をしばし見渡す。
「なんか・・変わった造りの街だね」
「あぁ・・」
街を囲む、長い塀。街の中にもたくさんの塀がある。
「ずいぶん、塀が多い街ね」
「キメラを防ぐためかな?」
「じゃねえかな。軍があてにならないじゃ、自衛するしかねえもんな」
「大きなお城もあるわね。誰か住んでんのかしら?」
少し離れた場所に、街を見下ろすように古城が聳え立っている。エドワードは呆れたように言う。
「あんな古そうで、でっかい城にか?物好きだな」
「兄さん、あれが駅じゃない?」
アルフォンスが指差す先に、駅舎らしき横長の建物が見える。
「よし、急ぐか!腹も減ったしな」
列車が脱線してから一昼夜。漸く見えたセントラルへの道に、エドワードの口元が綻ぶ。
「そうね。さすがに朝食までお世話になるわけにはいかなかったものね」
「駅前の店なら開いてるだろ。急ごうぜ、アル、エリス!」
「えぇ」
「うん!」
街の周囲を囲う高い塀沿いに歩いて行くと、中へ入れる場所が1カ所だけあった。
そこから先は、家々や店が並んでおり、一気に景色が変わる。
「やっと着いたぜ。ふ~ん・・ここがノイエ・ヒースガルドの街か」
人気のない街を、3人は見渡す。
細い石畳の道の両側に、レンガと木造の住宅が建ち並ぶ。
だが、窓も扉も固く閉ざされていて、住んでいる者がいるのかさえわからない。
「思ってたより、静かな街だね。活気がないっていうか・・」
「じーさんが言ってたろ、治安が悪くなってるとかなんとか。だからじゃないのか?」
アルフォンスは静かすぎる街の空気が気になるようだが、エドワードはさして気にとめることなく歩き出した。
「ヴィルヘルム教授が造った街ね・・本当に、ここにたくさんの錬金術師が集まっているのかしら」
閉まっている店先や、家々の開ざされた窓を見ながらエリスは呟いた。
「ま、そのことは後回しだ。まずは、腹ごしらえといこうぜ」
噴水のある広場へ出た。駅が近いせいだろうか、チラホラと街の住人らしき者の姿も見える。
広場を見渡せる場所に、開店しているカフェを見つけた。3人はその店の扉を開けた。
「ねえ兄さん。このまま駅にいくの?」
オープンテラス席に座り、パンをかじるエドワードに尋ねる。
エドワードが選んだのは、ベーコンにスクランブルエッグにポテトサラダ、厚切りトーストにコーヒー。
エリスはまだ店の中で、サラダを何にするか悩んでいる。
「あたりまえだろ、初めからそうするつもりだったじゃんか。教授は無事だとわかったんだ。わざわざ会いに行く必要なんて、ないだろ」
対して咀嚼せずに、トーストをコーヒーで流し込む。エリスが席に着く前に、食べ終わってしまう勢いだ。
「それはそうだけど・・でもやっぱり気になるよ。たくさんのキメラのこととか、セレネのことだって何もわかってないし。その辺の話を教授に聞こうよ。エリスも行くって云ってるし」
「なあ、アル・・・・実は俺、思い出したことがあるんだ」
ゴクリとコーヒーを飲み込むと、伏し目がちに呟いた。
「何を思い出したの?」
.
「ねえ、あれがそうじゃない?」
教会を出発して2時間。目指すノイエ・ヒースガルドの街が見えてきた。
ノイエ・ヒースガルドに行くには、いち度鉱山まで戻り、裾野沿いの道を歩かなければならなかった。
ノイエ・ヒースガルドは旧ヒースガルドより低地にあるため、裾野から街全体がよく見渡せた。
3人は、街をしばし見渡す。
「なんか・・変わった造りの街だね」
「あぁ・・」
街を囲む、長い塀。街の中にもたくさんの塀がある。
「ずいぶん、塀が多い街ね」
「キメラを防ぐためかな?」
「じゃねえかな。軍があてにならないじゃ、自衛するしかねえもんな」
「大きなお城もあるわね。誰か住んでんのかしら?」
少し離れた場所に、街を見下ろすように古城が聳え立っている。エドワードは呆れたように言う。
「あんな古そうで、でっかい城にか?物好きだな」
「兄さん、あれが駅じゃない?」
アルフォンスが指差す先に、駅舎らしき横長の建物が見える。
「よし、急ぐか!腹も減ったしな」
列車が脱線してから一昼夜。漸く見えたセントラルへの道に、エドワードの口元が綻ぶ。
「そうね。さすがに朝食までお世話になるわけにはいかなかったものね」
「駅前の店なら開いてるだろ。急ごうぜ、アル、エリス!」
「えぇ」
「うん!」
街の周囲を囲う高い塀沿いに歩いて行くと、中へ入れる場所が1カ所だけあった。
そこから先は、家々や店が並んでおり、一気に景色が変わる。
「やっと着いたぜ。ふ~ん・・ここがノイエ・ヒースガルドの街か」
人気のない街を、3人は見渡す。
細い石畳の道の両側に、レンガと木造の住宅が建ち並ぶ。
だが、窓も扉も固く閉ざされていて、住んでいる者がいるのかさえわからない。
「思ってたより、静かな街だね。活気がないっていうか・・」
「じーさんが言ってたろ、治安が悪くなってるとかなんとか。だからじゃないのか?」
アルフォンスは静かすぎる街の空気が気になるようだが、エドワードはさして気にとめることなく歩き出した。
「ヴィルヘルム教授が造った街ね・・本当に、ここにたくさんの錬金術師が集まっているのかしら」
閉まっている店先や、家々の開ざされた窓を見ながらエリスは呟いた。
「ま、そのことは後回しだ。まずは、腹ごしらえといこうぜ」
噴水のある広場へ出た。駅が近いせいだろうか、チラホラと街の住人らしき者の姿も見える。
広場を見渡せる場所に、開店しているカフェを見つけた。3人はその店の扉を開けた。
「ねえ兄さん。このまま駅にいくの?」
オープンテラス席に座り、パンをかじるエドワードに尋ねる。
エドワードが選んだのは、ベーコンにスクランブルエッグにポテトサラダ、厚切りトーストにコーヒー。
エリスはまだ店の中で、サラダを何にするか悩んでいる。
「あたりまえだろ、初めからそうするつもりだったじゃんか。教授は無事だとわかったんだ。わざわざ会いに行く必要なんて、ないだろ」
対して咀嚼せずに、トーストをコーヒーで流し込む。エリスが席に着く前に、食べ終わってしまう勢いだ。
「それはそうだけど・・でもやっぱり気になるよ。たくさんのキメラのこととか、セレネのことだって何もわかってないし。その辺の話を教授に聞こうよ。エリスも行くって云ってるし」
「なあ、アル・・・・実は俺、思い出したことがあるんだ」
ゴクリとコーヒーを飲み込むと、伏し目がちに呟いた。
「何を思い出したの?」
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