第3章 ヒースガルド
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「だあああああああっ!ちくしょー!逃げられたーー!!」
戻るなり、エドワードは悔しさにわめき散らす。
「おかえり、兄さん」
兄さんを振り切るなんて、随分脚の速い女の人だなあーー
「まったく、逃げ足の早い女・・・・っと、なんだこりゃ」
ドカドカと足を踏み鳴らして聖堂の中へ入ったエドワードは、白いモノを見つける。
「どうしたの?」
「羽だ。鳥の羽・・・か?なんでこんなとこに落ちてんだ?」
それを摘み上げると、クルクルと指先で弄んだ。
「ここにあった、キメラの身体は?」
「消えちゃった」
鉱山で遭遇したキメラ同様、塵のように消えていた。この羽は、あのキメラのものだろうか。
しかし、鳥が合成されているように見えなかった。
骨の面についていた飾りの羽かとも思ったが、あれは確かピンク色だった。
ちょっと調べてみたかったのになと、残念そうにアルフォンスは言う。
「兄さん。その羽、なんか光ってない?」
エドワードの手元を覗き込む。
「そういえば、微かに暖かいような・・・あっ!?」
羽は、柔らかなオレンジ色の光を微かに放ち、煙りのように掻き消えた。
「え?羽が消えた」
「どうなってんだ?さっきの女の置き土産か?」
「この羽みたいに、ボクたちのことを消すってことかな」
2人は、消えてしまった羽を見つめた。
「エド!アル!どうなったの!?」
不意に、通路側の扉からエリスの声が聞こえてきた。
ドンドンと扉を叩く音もする。
エドワードの撃った石球が、扉の前に転がって塞いでしまっていた。
「わりぃ、いま開ける」
「兄さん!まだ開けちゃだめだよ!」
石球をどかそうすると、アルフォンスが慌てて止めた。
「なんでだよ」
「これ見てよ!」
「あ・・・」
振り返ったエドワードの眼に映った聖堂の中は、燦燦たる有り様だった。
シャンデリアは落ち、割れたステンドグラスが床に散乱していた。
長椅子に至っては、武器に錬成してしまったので、影も形も無かった。
「神父さん、腰抜かしちゃうよ」
「・・・だな」
「エドワード!アルフォンス!ケガは!?」
扉を開けると、 エリスが飛び込んで来る。エドワードは白い歯を見せて笑う。
「おう!見ての通りだぜ!」
「 エリス、神父さんもケガはありませんか?」
続いて入って来た神父も、2人の無事な姿に笑みを浮かべる。
「あぁ、平気だ。ありがとう。窓を直してくれたんだね」
キメラが侵入した時に粉々になったステンドグラスが、綺麗に窓枠に収まっていた。
長椅子も行儀よく並び、シャンデリアも何事も無かったように、天井で明かりを灯している。
ただ、燭台についている髑髏の飾りに、神父が気付かないようにとーーアルフォンスは人知れず祈った。
「さっきのキメラは、一体何?」
今まで遭遇したキメラと違い、何かはっきりとした意志を感じた。それが、キメラの意志なのか、それともーー
創造主の意志なのかは解らないが
「あの女が、キメラたちを・・・街を破壊したのか・・」
「あの人も、錬金術師なのかな。あんなすごいキメラを錬成したとしたら、相当な技術の持ち主だけど」
「何?何の話?」
エドワードとアルフォンスの会話が理解出来ないエリスは、話しの腰を折った。
そこで、アルフォンスがキメラを倒した後の顛末を手短に話す。
神父は大層驚いたが、 エリスは表情を変えずに最後まで聞いた。
「カミラ・・・その女、そう名乗ったのね」
外への扉を横目で見ながら呟く。
「心当たりがあるの?エリス」
「・・・・・さぁ」
視線をいちど床に落とすと、エリスは窓の向こうに広がる夜を見た。
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