第3章 ヒースガルド
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そんなことを話していると、神父が毛布を3枚抱えて入って来る。アルフォンスは礼を言って受け取った。
「今日は、アルモニは来なかったな。あの娘がいれば、君たちも退屈せずにすんだろうに」
そういう神父も話し相手が欲しいのか、エドワードの向かいに腰を下ろす。
「アルモニって?」
エリスが尋ねると、目尻の皺を深くして微笑む。
「街の子だよ。君たちと同じくらいの女の子で、何故かあの子だけ怪物に襲われないんだ。とはいえ、危ないからここには来るなと言ってるんだが、しょっちゅう遊びに来る。困った子だよ」
困ったと言いながら、顔は微笑んだままだ。内心は嬉しいのかもしれない。キメラのことさえなければ。
「へ~キメラに襲われない・・・あれ?ボクたちも最近、そんな女の子を見たような・・」
「ごく最近、ね」
アルフォンスとエリスは顔を見合わせる。エドワードは直ぐに、苦虫を噛み潰したような顔になる。
「じーさん、もしかしてそいつ、短めで赤っぽい髪の小娘じゃないだろうな」
「いや、そのとおりだ。なんだ、アルモニのことを知っているのかい?」
「くあっ!やっぱりかっ!!知ってるも何も、あの小娘のせいで俺はひどい目にーー」
立ち上がったエドワードは、天を仰ぐとわなわなと指を震わせた。危険を察知したアルフォンスが、フォローに入る。
「あはは・・すみません神父さん。実はここへ来たのも、半分はその子を追いかけて来たからなんです。ボクは事故だと思ってるんですが、兄さんはひどく、アルモニさんに恨みがあるようで」
「恨み?アルモニにかい?」
「人の頭に勝手に降っておきながら、何が事故か!!」
訳が分からずに、エドワードとアルフォンスを交互に見ている神父に、 エリスは話しを進めようと話し掛けた。
「そのアルモニって子、お墓参りに来たみたい。セレネの墓石の前に、花が供えてあったわ」
「そうか、アルモニは今日もセレネの墓に・・」
「・・・あの子とセレネって、どういう関係なの?」
「そういえばそうだな。教授には、セレネ以外子供はいないはずーー」
怒りがひと段落したのか、エドワードが会話に入ってきた。
ヴィルヘルムのことを話すエドワードとアルフォンスを、神父はじっと見つめる。
「君たちは、錬金術師なのかい?」
探るような眼差しで、神父は尋ねる。
「はい、兄さんは国家錬金術師です。ボクはちがいますけど」
「・・・・・・・」
こちらを探っている神父を、エリスは探り返す。
幼いが国家錬金術師というエドワードの身分に、真実を話してくれるかも知れない。
「それで、教授やセレネを知っているのだね」
「知っているというか・・ずっと昔に会っただけですけどね」
「おまえは、セレネの友達なんだろ?」
「えぇ・・・」
神父を見つめたまま、エリスは頷く。
「セレネのこと、今日初めて知ったんだよな。驚いたよ。病気か何かだったのか?」
「セレネの死は、今でもはっきりとしたことが分かっていないんだよ。ここだけの話だが、遺体がなくてね」
「遺体がーーない?」
ここだけと打ち明けられたのは、あまりに衝撃的な事実だった。3人は、言葉を失い神父に見入る。
「何かの事故に巻き込まれたとしか、教授も言わなくてね・・・遺族を問い詰めるのも躊躇われてね・・追及はしなかったが・・・・結局、遺体のないまま葬儀は行われたよ」
「・・・どういうことだろう、兄さん」
「教授が自分で埋葬したかったんだろ。葬儀屋に頼むと、色々金がかかるからな」
あまりに突飛な話に、エドワードはお手上げとばかりに長椅子に寝転んだ。
「そんなせこい理由じゃないでしょ」
「そんなの有り得ない・・・セレネが死んだこと自体、未だに信じられないのに」
「エリス?」
「教授には、遺体を見せられない“理由”があったんだわ」
ヴィルヘルムが、どれだけセレネを愛していたかよく知っている。
セレネが死んだことも、遺体も無しに葬儀をしたことも。なにかーーーそう。よほどの事情がない限り。
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