第1章 トレインジャック
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エドワードは石炭の山を飛び越し、先頭の機関車に向かって走った。
その後から、アルフォンスが続く。くわえていた葉巻を吐き出すと、ガンツの口角は、これ以上ない程上がった。
「少しは楽しませろよなっ!!」
「そんな余裕なんか、やらねえぜっ!!」
ガキィッッーー!!
斬りつけてくる甲剣を、左腕で受け止めた。動きの止まったエドワードに、ガンツの右拳が
「オラあっ!」
「オォッとっ!ーーわっ!!」
後ろに避けたはいいが、機関車の揺れにバランスを崩す。
列車はカーブを曲がり切り、車体は直線に戻る。
「ちっ!!」
「兄さんーーえいっ!!やあっ!!」
舌打ちするガンツに、アルフォンスが拳を繰り出す。ガンツは一瞬押されかけたが、パワーは互角だ。アルフォンスの腹を蹴り飛ばす。
「オラァッ!!」
「うわっ!」
ガチャンと音を立て、尻餅をつく。
「どうした、もう終わりか?口ほどにもーー」
ふと、炭水車の屋根にいる、エリス の姿が視界に入った。
棚引く髪の奥から、ライトブラウンとダークグリーンの中間点であるヘーゼルの瞳が、無表情に自分を見つめている。
ーーなんだ、コイツ
この状況に、少しも臆する様子もない。その時、陰っていた太陽の光が彼女を照らした。
右の瞳が、イエローブラウンに
左の瞳が、ダークグリーンに変わる。
まるで 光と闇のーーー
「このガキーー!!薄っ気味の悪い眼で視るんじゃねえっ!!」
エリスを罵るガンツの前に、アルフォンスが立ちふさがる。
「おじさん、相手はボクたちでしょ!!」
「よそ見してんじゃねえーー!!」
ガンッーー!!!!
ドゴンッーー!!!!
「--!!」
鈍い音と共に、オートメイルが砕けた。細かい破片が飛び散る。
「えいっ!」
組んだ鎧の両手を、ガンツの頭上に振り下ろした。
「よっ!」
よろけるガンツの腹に、下からエドワードの蹴りが入る。勿論、左脚だ。
「がはっーー!!」
2人の猛撃に、ガンツはあっという間に機関車の端まで後退した。
「バカな、この俺がーー!!」
必要なまでに攻撃を受けたオートメイルを押さえ、膝をついた。その様子に、エドワードはニヤリと笑う。
「これで分かって貰えたかなぁ。格の違いってやつをさ」
意気揚々とするエドワードに、アルフォンスは囁いた。
「軍最強?焔の大佐の方が強いよね」
「今まで随分、楽に人生いきてきたんだな」
「なんだとっ!!」
「やめなよ兄さん。カッコ悪いよ、弱いものイジメは」
小馬鹿にしたエドワードの態度に、アルフォンスが憐れむように追い討ちをかける。
「弱いもの?貴様らぁーーあ!!!ーーッ」
立ち上がろうとしたガンツは、オートメイルの接続部分からの痛みに、左肩を押さえてしゃがみ込んだ。
「これで勝ったと思うなよ!借りは必ず返す!覚えていろ!!」
「見事にお決まりのセリフだね」
ガンツの遠吠えに、呆れた声が鎧の中で響く。
「生憎と、最近物忘れがひどくてね」
「そだね」
エドワードがアルフォンスを睨み付けた時、ガンツが捨て台詞を吐いた。
「また会おうぜ、クソチビども!!」
それを聞いたエドワードの額に、いくつもの青筋が立った。
「クソチビ・・・・誰がクソたれドちびかーー!!!!!」
パンッーー!!
機関車の屋根に両手が着くと、その場に大砲が錬成された。
間髪を入れずに、鉄球を発射する。それをひらりと避けたガンツは、そのまま機関車から飛び降りた。
「あ゛!!!!」
大口を開けて固まるエドワードを尻目に、鉄球はあっという間に、前方のトンネルに吸い込まれた。
「やばっ」
「あ~あ・・」
またかーーと言わんばかりにアルフォンスが大きなため息をつくと、トンネルから黒い煙りが噴き出してきた。
「莫迦ね・・」
エリスがひと言呟くと、もうもうと煙りが立ち込めるトンネルの中へ、列車は吸い込まれていった。
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