最終章 翔べない天使
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キメラたちに荒らされた教会の庭に、神父は錬成陣の描かれた紙を置く。紙の上には、あの白い羽ーーー
「お前の小さな望み、私と一緒に叶えよう。あぁ、勿論、彼らも一緒だとも」
音を立て両手を合わせると、その手を白い羽に押し当てた。
すると、荒れた庭はみるみるうちに若芽に覆われ、色とりどりの花を咲かせた。
「・・・満足かい?」
東方司令部に引き上げる前に、マスタングとホークアイはアトリエ・アルケミスト跡地に花を手向けに来た。
そこだけ色の変わった地面を見つめ、あの時のことを思い返す。
「・・・マーゴット・・さん」
「騙して、ごめんなさい・・」
自分を見つめる弱々しい視線に、ホークアイは謝罪した。
潜入捜査とはいえ、アルモニと過ごした日々は楽しかったから。
アルモニはいいのと首を振り、マスタングを見る。
「私は、ふたりの後見人、ロイ・マスタングだ」
真っ直ぐな黒い瞳にエドワードと似たものを感じ、ショートパンツのポケットから手紙を取り出す。
「これ・・を、エドーーに」
「わかった。必ず渡そう」
震える指で渡された手紙を受け取ると、アルモニは微かに微笑んだ。
花束を地面に置いた。と同時に地面が芽吹き、花が咲き始める。
あっという間に咲き誇る花たちに、マスタングは目を見張り、ホークアイは悲しく目を伏せる。
ありがとうーーー
アトリエに消えて行く後ろ姿を、権限を行使してでも引き留めるべきだったのだろうかーーー
後悔に苛まれそうになるマスタングの胸の内を拭うように、花たちが風に揺れた。
「泣いても、いいんですよーー大佐」
今なら、誰も見ていないからーー
「バカをいうな、行くぞ!!」
「むううーーー」
「そうか、今までのアルモニの錬成は、失敗してたわけじゃなかったんだ。眠っていただけだったんだ」
「稀代の錬金術師になれたものをーー」
つぶらな瞳でエーテルフラウを見つめ、アームストロングはアルモニの力を惜しむ。
「死んだら・・死んじまったらーーーそれでおしまいさ」
エドワードは窓を開け、花をのせた手を外に出す。見る間に、風にのってエーテルフラウは飛んでいった。
.
