最終章 翔べない天使
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列車が動き出すと、エドワードは手紙を開け、読んでくれとアルフォンスに渡す。
「アルモニ、手紙なんて、いつ書いたんだろう」
「教会から戻って、俺たちが教授と話してる時じゃないか?」
「聞いてーーたんだよね、あの話」
「たぶんな・・・」
「・・じゃあ、手紙、読むね」
エドへーーー
いつか必ず来るお別れの時のために、この手紙を残しておきます。特別に改まったことじゃないんだけどね。
でもきっと、その時になったら、面と向かっては言えないから。
ほら、またケンカになっちゃうかもしれないし。
だからね、後になって後悔しないために書いておきます。
ねえ、エド。
人は何かの代償なしに、何も得ることは出来ない。錬金術同様、この世の理(ことわり)は等価交換。
そう、教えてくれたよね。
でもね、あたしはそんなことないと思うんだ。
だって、いくら代償を払っても、得られないものもあるでしょ?
また、「全然わかってねえ!!」って、怒られちゃうかな?
だけどね、エド。あたし、いままで何もあげてないんだよ。
誰にも、何もしてあげられてないんだよ。
エドやアルだけじゃない。エリスや神父さまや、パパにだってーーーそれなのにね、あたしはそれに見合う対価を思い付かないほど、たくさんのものを貰っちゃってるんだもん。
だから、あたしにはこう思えるんだ。
それは、この世の理かもしれないけど、人の理ではないんじゃないかって。
人って、そんな理に縛られない、もっと大きな存在なんじゃないかって。
あれ?なんでかな?こんなこと書くつもりじゃなかったのに・・・おかしいな。
とにかくね、あたし、本当に感謝してるの。だから、ありがとう。心からの言葉だよ。
だって、今こうして、エドやアル君やエリスの顔を思い浮かべて自然に出てくる言葉は、それしかないから。
やっぱり、面と向かっては言えそうもないけどね。
けど、これだけは伝えないですますわけにはいかない。
たとえ、何もしてあげられなくても、何もあげられなくても。
だからーーうん、手紙にして正解だったと思う。
これで、ちゃんと伝わるといいな。
そろそろ、終わりにするね。
さようなら、元気で。本当に、本当にありがとう。
小さくて大きな、私の師匠へーーー
「小さくて大きな、私の師匠へ・・・」
読み終わると、アルモニの心情に、アームストロングは滝のように涙を溢れさす。
「ぬおおおっーー我輩、感動っ!!い、いかん、涙がとまらぬーー」
「ふん・・アルモニのやつーーー小さいはよけいだっての。ったく、最後まで生意気なやつだったな」
便箋を封筒に戻そうとしたアルフォンスは、中に何か入っているのに気付く。
「・・・あれ?」
「どうした?」
逆さにして振ると、掌に転げ落ちてきたのは
「これーー種だよ。花の種だ。何の種ーー!?」
種は突然光りを放つと、みるみる芽吹き始めた。
芽吹いた種は、あっという間に蕾をつけ、可憐な花びらを開く。
「これはーーエーテルフラウ・・・」
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