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「ふぅ~。やっと、オーピッツに着いたよ。お尻が四角くなった気がする・・」
アニスはのびをすると、固い座席に座り続けて固まった尻を、スカートごしにさすった。
彼女は、家からいちばん近い駅まで2時間も歩き。
1日に数える程しかない汽車を乗り継ぎ、3日かけて故郷からたどり着いた。
降り立った駅は、広大な構内にホームが幾つもある、アメストリスの主要首都、オーピッツ。
「さすがに、賑やかね。村とは大違いだな」
改札を出て、アニスは人でごった返す駅前を眺める。
「えっと・・ここからバスに乗るんだっけ。バス停は…と」
キョロキョロと見渡すが、人も物も多過ぎて目眩がしそうだ。
「だ、だめだ・・誰かに訊こう」
道行く人にぶつかりながら歩いていると、バスの案内板らしきものが見える。
アニスは必死に近づいた。
案内板の前には、夫婦らしき男女が指を差して、何やら確認をしている。
「すいません、あのーー」
声を掛けると、2人は振り返った。
ヒゲをはやした、熊のような体躯の男と(顔も熊だとアニスは思った)
ドレッドヘアーを一つに束ねた、涼し気な目元の女がアニスを見下ろす。
「なんだい?お嬢さん」
ニッと笑う女に、アニスはどもりながら尋ねた。
「あ、あの。カールフェルトって町にいくバスは、どれですか?」
「カールフェルト?」
女はまた、案内板を見る。
「カールフェルトには、このバスじゃいけないよ。
あそこに停まってるのが、そうみたいだね」
女が指差す方向を、アニスは背伸びをしながら見た。
茶色に近い、オレンジ色の小さな乗り合いバスが見える。
「あれですか?ありがとうございます」
アニスはぺこりと頭を下げる。
「急がないと。もう、出発するみたいだよ」
「はいっ」
返事はしたものの、前から来る人波に、アニスはなかなか進めない。
「あんた」
「ああ」
女が声を掛けると、男はアニスに近づき、彼女が手に持っているトランクごと、肩に担ぎ上げた。
「ひゃあっ!!」
「掴まれ」
「えっ!?」
そう言うやいなや、男は走り出した。
「きゃあ~~っっ!!」
それを見ながら、女はウットリと頬に手を添える。
「相変わらず、逞しくていい男だね」
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