最終章 赤い涙
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『娘が死んだら、生き返らせればいい』
ジャック・クロウリーは、事も無げに云った。隣には、何人めなのだろうかーーーエルマが静かに寄り添っている。
エドワードは、マスタングの推測が正しかったことを思い知る。
『本当に、そんなことが出来るのか?』
『信じるも信じないも、お前の勝手だ・・だが、確かな証しが…お前の目の前にいる・・』
『頼む!必要な物は、何でも揃える!』
『何でも用意・・出来るのか?』
『ああ!何を揃えればいいんだ?何なりと言ってくれ!』
. .
『どんな‥モノでもか‥?』
『ああ!』
『用意するものは、命だ』
『命ーー!?』
思いも依らぬ要求に、ルイーニは目を見開いた。
次の映像に、マリーゴールドの身体は震えた。エドワードも息を呑む。何故なら、そこに映し出されたのはマリーゴールドの臨終の様子だった。
ルイーニは娘の遺体にとりすがって、泣いていた。
『マリィーー マリィ ーーどうして娘が死ななければならないんだ!!この子はまだ15才なのにーー!!そうだ、あの男を呼ばなければ。ジャック・クロウリー・・』
クロウリーの名を口にした時、彼に言われたことを思い出す。
『そうだ、命が必要だ。命ーー命ーー誰の命?誰でもいい。あの子が生き返るのならーー』
ルイーニは急ぎ足で部屋を出た。
『ただいま戻りました』
『あぁ、お帰り、アニス』
出迎えたルイーニに、アニスは慌てて頭を下げる。
『旦那さま、休暇をありがとうございました』
『で、願書は貰ってきたのかね?』
『はい、来年、国家練金術師の試験を受けます。ところで・・クレマチスさんやエリスさんは?』
『彼女たちーーそう、暇を取りたいと言ってね。辞めたんだよ』
『え?そう・・なんですか?』
『それより、 マリーゴールド がさみしがってる。顔を見せてやりなさい』
『あ、はい』
『 マリィ 、ただいま』
扉を開けて顔を覗かせると、マリーゴールドは、不思議そうにアニスを見る。
『・・誰?』
『やだなあ、忘れちゃったの?私だよ。アニス・グリーン』
部屋へ入ると、アニスはベッドサイドの椅子に腰を下ろす。
『アニス・・グリー・・ン?ぁあ、アニス!』
『思い出した?』
『うん。アニスがいない間に、また熱が高くなって・・下がったんだけど、なんだかぼーっとして、色んなことが思い出せなくて・・』
マリーゴールド は申し訳なさそうに言った。
暗い部屋に、ドスンと音が響いた。建て付けの悪そうな音がして、扉が閉まる。
微かなランプの灯りに、黒い地面が浮かび上がる。
『アニス、すまない、すまないーー』
『ーーーっ!!』
顔を上げたアニスに、ルイーニは謝罪し続ける。
『君の犠牲が必要なのだ。おまえもそれを、望んでいたではないか。マリィの復活を』
『いやっ!やめてくださいっ!!』
『あの子を、あれほど慕っていたのだから』
『やめてぇっ!!』
いつから居たのか。部屋の隅に男が立っていた。長い銀の髪に赤い瞳。
男は両手を合わせ、地面に手をつく。
地面が、青白く光り始める。
こんなこと望んでないーー!!!!
嫌だ死にたくないッ!!
マリィーー!!!!
アニスは、必死に後ろで指を動かした。
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