第9章 愛しい人
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行き着いた部屋には、また錬成陣があった。
「兄さん、この錬成陣ーー」
「例の移動用のヤツだな。きっと、この先にクロウリーはいるはずだ」
「・・・本当に、他に方法はなかったのかな?」
錬成陣に向かいながら、アルフォンスがポツリと言った。
それを聞いたエドワードは立ち止まる。マリーゴールドとアルフォンスも足を止め、赤いコートの背中を見つめる。
「あのヒトが、それを望んでいたことは確かだ。それにもう、俺たちがエルマさんにしてあげられることはひとつしかないーー」
「でもーー」
アルフォンスは戸惑いを見せる。
ヒトを殺めることへの抵抗ーーーそれだけではない。
だが。実はエドワードも、内心まだ決心がつきかねている。
それはやはりーーー
「アル、エルマさんの最後の望みーークロウリーさんを倒そう」
エドワードの胸の内を見透かしたかのように、マリーゴールドが言った。
「マリィーー」
「行こう。エド、アル」
3人が錬成陣の上に立つと、待ちかねたように青白く光り始める。
ここはもう、王族しか立ち入れない場所。罠など必要ないのだろう。
錬成陣の光りで、エドワードたちも白く光り出す。
「ねぇマリィ・・エルマさんはマリィに何を謝ったの?」
消えかけながら、アルフォンスが訊いた。
アーレンに謝罪したのはわかる。しかし、マリーゴールドには、何を謝ったのだろうか。
「私にじゃないわ」
「え?」
「私の中の私にーー」
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