第9章 愛しい人
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「待ちやがれ!」
エドワードは必死に追うが、女はひらりひらりと2人の攻撃を交わし、宙を舞い地面を滑るように移動する。
「兄さん、挟み打ち!」
「おう!」
左右に別れて追い詰めるが、直前で真上に跳び上がり、アルフォンスの背を二度三度蹴り上げた。
「わわっ!」
アルフォンスの巨体が宙を舞う。
「アル!」
ガチャンーーーッ!!と盛大な音と共に床に叩きつけられる。
「なんだか、貴婦人みたいな身のこなしだな、あの女。さしずめ、ファントム・レディってとこか」
女の戦いぶりを見ていたアーレンが感心したように言った。
「もう、こんな時にロマンチックなこと言わないでください、アーレンさん」
その時、部屋の隅にゴーレムが出現した。丸々とした身体は、アーレンでも見上げるほどだ。
「ほら、ジェントルマンのおでましですよ」
ゴーレムは身体を折り四つん這いになると、頭頂から炎の弾を撃ち出す。
「うおっ!」
ウオオオオーーー!!
炎を避けたアーレンを、威嚇するように咆哮上げる。
「お前らごときに、やられる俺さまじゃねぇぞ。来い!」
アーレンはマリーゴールドが錬成したハンマーを振りかざした。
一方、エドワードとアルフォンスは女の素早い動きに翻弄されていた。
その上、的確に急所をついて攻撃してくる。
エドワードは鳩尾を押さえ
「くっそー動きが速くて捕まらねぇ!」
「兄さん、あのヒト、攻撃した後にスキが出来る。ボクが囮になるからーー」
「わかった、行くぞ!」
女に対して真っ直ぐ向かうアルフォンスに対し、エドワードは斜め横に走り込む。
攻撃されても、アルフォンスは防御するだけで反撃しない。
その間にエドワードは女の後ろに廻り込んだ。
顔の前でクロスした腕でジャンプして繰り出した女の蹴りを受け止める。
勢いで後ろに足が擦れる。
女が着地した。
「このーーッ!!」
振り返った女の胸に鋼剣が刺さる。
ちょうど埋め込まれている赤い石の辺り。
ガキーーッ!!
剣が石に当たり音を立てた。
そのまま抉るように腕を横に振る。
鋒が女の身体を裂いた。
胸の肉が抉れ、赤い石が傾く。
ヒイイイィィィーーーッ!!!
悲鳴を上げながら女はエドワードから飛び退く。そのまま入り口付近でゴーレムと戦っているマリーゴールドの元へ走る。
「 マリィ!!」
マリーゴールドが振り返る。
足下には、アーレンと二人がかりで倒したゴーレムの残骸。
「え?あっーー!?」
マリーゴールドの目に、一直線に向かって来る女が飛び込んで来る。
「マリィ!石だ!赤い石を狙え!!」
「石!?キャアーー!!」
目の前に迫る女の身体に、夢中で炎の杖を振り下ろした。
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