第8章 地下の攻防
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塔の内部には、幾本もの蝋燭が灯されていて、充分では云えないがそれほど暗くはない。
やはり、ジャック・クローリーはこの塔を根城にしている。
アーレンの言葉に、間違いはないようだ。
歩きながら観察していると、アーレンがふいに立ち止まって、腕を組んだ。
「どうしたんですか?アーレンさん」
「いや、上に向かう通路しかないなと思ってな」
転送陣から真っ直ぐ続く通路の先には、上に向かう階段が見えていた。
他に通路はない。
「それだと、何かまずいのですかな?」
「お前たちも、塔の周りの堀を見たろう?この塔は、上よりも下に向かって建築されている。地下の方が、遥かにデカい。だが、通路は上だ」
「すると、地下へ行くルートが、隠されているということですな」
「そういうことだ」
「また、錬成陣かな」
「おそらく。これだけ厳重に侵入者を阻止しているのだ。余程、見せたくない物があるのだろう」
一瞬、空気が冷えた気がした。刹那、床に幾つもの黒い穴が出来、ゴーレムを形成していく。
「ーー少佐!」
「うぬぅ!現れおったな、忌まわしき異形のモノたちよ!!」
ゴーレムたちに囲まれ、3人は背中合わせに対峙する。
「アーレンさん、ボクから離れないでーー」
「我がアームストロング家に伝わりし、芸術的錬成法!とくと思い知るがよい!!」
アームストロングは美しくポーズをとると、ゴーレムに突進して行く。
腕を上げ、今まさに攻撃しようとしているゴーレムに、怒濤のように拳を繰り出した。
「見たか!これぞ我がアームストロング家に代々伝わりしーーー以下略!」
「すげえな・・」
「アハハハ・・・」
あっという間にゴーレムを全滅させたアームストロングに、アーレンは目を丸くする。
「しかし、無理に命を吹き込まれ、戦うことを強いられるとは・・・思えば、哀れなモノたちよ・・」
床に広がる黒い泥の塊に、アームストロングは慈悲の目を向ける。
そんな彼の態度に、アルフォンスはこの事件に関わって以来、ずっと思っていたことを吐露する。
「・・少佐ーーボクたち、人の命を奪うことになるんですよね・・・」
「ジャック・クロウリーのことか?」
「はい・・」
アルフォンスの顔を暫く見つめた後、アームストロングは静かに、しかし揺るがぬ決意を話し始める。
「我輩も殺生は好まぬ。だが、ここで奴を止めなければ、更に多くの者が命を落とすことになる。
戦えば相手を傷つけ、結果として命を奪うこともあるだろう。
だが、戦いの中で命を奪わずとも済む方法が、見つかるやもしれぬ」
「そんな方法が、あるんですか?」
「わからん」
「おいーー」
思わず口を挟もうとしたアーレンを、アームストロングの円らな瞳が制する。
「しかし、迷わず全力で戦えば、その方法が見えてくるかもしれん。拳で相手の良心に訴えるのだ」
「甘いな。もう、クロウリーには良心なんてものはーー」
「確かに、我輩は甘いかもしれぬ。だが、どんな状況でも、その希望は捨てるつもりはない。それが我輩、アレックス・アームストロングの信念なのだ」
「・・・・・」
「希望・・・か。あの人を説得出来るだなんて、思っていなかったけどーー少佐の話を聞いてたら、なんだか決心がつきました。ボクは、全力で戦います」
「うむ。あの2人のためにも、必ず、生きて戻るのだ」
リゼンブールで、手を振って見送ってくれた。
「2人ーーばっちゃんとウィンリィ・・・もちろん、生きて戻ります」
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