第6章 古の都
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「どうして・・?」
「蘇生は、うまくいったんじゃなかったのか?」
「2年程たった頃だった。ある日、オレやクローリーの前で、エルマは泥水となり、土に還ってしまった。エルマの身体は、不完全なものだったんだ」
アーレンは、胸の前で何かを掬うように両手を広げた。
「土に・・・」
「クローリーは、再び研究を始めた。何かにとり憑かれたように、奴は、ゴーレムの研究に没頭していった」
そこまで話すと、喋り疲れたのかアーレンはいちど言葉を切った。
神殿の中に沈黙が戻る。
しかし、誰も身動ぎひとつせずに、彼の次の言葉を待った。
やがて、観念したようにアーレンは重くなった口を再び開いた。
「・・多くの失敗作のエルマが生み出されて、土に戻っていった。
そしてある日、身体の半分がゴーレム状態になったエルマが、悲しそうにオレに言ったんだ。
『もう、やめて・・あの人をとめて・・・私を、殺してーー』ってな」
「私を、殺して・・・」
マリーゴールドは、 自分たちの前に現れた、エルマの哀しげな顔を思い返した。
彼女とリゼンブールの洞窟で際会した時、自身を嘆きながら、それでも゛あの人゛を助けてと言っていた。
ーーー違う
゛あの人゛じゃない。゛あの人たち゛って言ってた。
ジャック・クロウリーの他に、誰を助けるのーーー?
マリーゴールドの心中をよそに、アーレンはつづけた。
「そんな時、オレはレビス文明が滅んだ原因を突き止めた。レビス文明は、暴走したゴーレムによって滅ぼされたんだ。
あの秘術は危険なんだ。
これ以上、クロウリーにゴーレムの秘術を使わせるわけにはいかなかった。
だが・・・オレは奴を止められなかった。すでに、半分正気を失っていた奴に、オレの言葉は届かなかった」
やはり、奴は賢者の石をーー赤い石を持っている。
エドワードは、無意識にジャック・クロウリーに自身を重ねた。
母、トリシャの錬成に成功していたら、自分もそうなっていたのだろうか。
右腕と左足だけでなく、全てを失っても、母を錬成し続けていく。
無理だ。対価をなくしたら、何も錬成出来ない。
そうじゃないーー 俺は・・・俺とアルフォンスはーー
「だからオレは、奴のもとを去った。レビスの遺跡に書かれた古代文字が解読出来なければ、研究は続けられないと思ったからだ」
「でも、ジャック・クロウリーは研究を続けた」
ここまで黙って訊いていたホークアイが、口を開いた。
ジャック・クロウリーが犯している、大量殺人の動機が見えてきたからだ。
それは、推理というより想像力の問題。
彼は、恋人のエルマを蘇らせる為に、村や街を襲う必要があった。
そしてそれが、兄弟が探し求めている“賢者の石”に関係していることも。
「そうだ。そして今尚、過ちを繰り返している」
「そんなことが・・・」
「エルマは、生き返ってはいない。生き返っているように見えるだけだ。死んだ者に、再び生を与える。そんなこと、出来るハズないんだ。神様でもないかぎりはな」
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