第5章 ボードワン
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娘のアーシャが出掛けると、村長はハボックを家の中へ招き入れた。
「それで、どういったご用で?少尉さん」
紅茶の入ったカップをテーブルに置きながら、村長は切り出す。
この家は、村長と娘のアーシャだけのようだ。
リビングボードの上に、中年の女性の写真が飾ってある。
それに一瞥をくれた後、ハボックは向かいに座った村長に視線を移した。
「あ、おかまいなく。えぇっとですね、この先の砂漠で、怪物が出たって噂を聞いたんスけどね」
前屈みになると、膝の上に肘をのせ両手の指を絡ませる。
煙草を吸えない手持ち無沙汰を、ごまかしているようだ。
「怪物ーーですか」
「えぇ。村の人から何かお聞きじゃないですか」
人懐っこい笑みで子供じみた事を訊ねる軍人に、村長は驚いたと云うより、呆れた顔になる。
その時、脳裏に蘇った会話があった。
『怪物?』
『あぁ、砂漠で見たんだ!あれはーー』
『そんなものがいるわけないだろう。お前、村にもふれ回っているそうだな。
バカバカしい、ほらを吹くにも程がある!!』
『ほらなんかじゃない!!早く村を捨てて逃げるんだ!!』
戯れ言にもほどがある。
村長は
「いえ、怪物の噂は聞きませんが・・」
村長の顔を、ハボックは探るように見詰める。
「あぁ、そういえば・・砂漠の方から、若い男女の旅人がやって来ました」
「旅人ーーですか?」
「えぇ、夫婦のようでした。砂漠を越えて来た割には、随分と軽装だったが・・」
2人の姿を思い出そうと、顎を指で挟む。
「その夫婦は、今は?」
「村をひと回りすると、また砂漠の方へ行きました。砂漠には遺跡がありますから、それでも調べに行ったんじゃないですかねえ」
それを聞いて、ハボックはしばらく思案していたが
「この村には、遺跡を調査している人はいないんスか?」
「村はずれに、アーレンという老考古学者がいるのですが・・その男がとんだほら吹きで」
「ほら吹き?」
「あぁ、何でもないんです」
「その、アーレンという考古学者の家。教えて貰えますか?」
紙に簡単な地図を描いて貰うと、それを持ってソファーから立ち上がる。
その家に向かおうと一歩踏み出したところで、ハボックは思い出したように振り返った。
「あ、そうだ。すんません、電話、貸して貰えますか?」
村には、公衆電話がなかった。
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