【誘惑】


幻光河で飛空挺を降り、ガラムサラムにある事務所へ向かう為、シパーフを待っていた。
すると、3人組の男が、待合所にいる人たちに片っ端から声をかけ始める。それを横目で追いながら

「何だろうね？」

「うん・・」

そのうちのひとりが、ユウナたちの元へも来る。

「あんたら、道すがらトーブリをみなかったか？」

「トーブリさん？いいえーー」

「あっ、トーブリ！！」

ふいに、待合所の傍を、トーブリがパタパタと走っていく。が、すぐに姿が見えなくなる。

「なんて逃げ足の早いヤツなんだ。こらぁ待てーーっ！！トーブリ！！」

男たちは、トーブリを追っていった。ユウナたちは、顔を見合わせる。

「どうなってるの？」

「わかんないよ」

「飛空挺に連絡して、アヤに聞いたらどうだ？何か知ってるんじゃないのか」



『アニキとダチから聞いたわ。ユウナ、コンサートを開くんですって？』

「はい、それで、トーブリさんを訪ねる途中なんですがーー」

ユウナの話を聞いたアヤは、タメ息をついた。

『あ～・・ユウナ、その男たちは、借金取りよ』

「借金取り？」

『この間、幻光河でイベントを開催してたでしょ？たぶん、その開催資金を借りた相手よ』

リュックが、イベントの様子を思い返す。

「そういえば、あんまり盛り上がってなかったね」

「チケットが、捌き切れなかったんじゃないのか？」

『シパーフ乗り場の近くに、森があるじゃない？よくそこに隠れるのよ、行ってみて。その前に、この通信機を借金取りの誰かに渡してくれない？』

「あ、はい」

シパーフ乗り場へ引き返すと借金取りを見つけ、通信機を渡した。
しばらく話していたが

「わかったよ。しかしアンタも変わってるな、あんなヤツの為にーー」

アヤに捨て台詞を吐くと、通信機をユウナに投げかえ返し去っていく。
ユウナたちはアヤに言われた通り森へ向かう。
歩きながら、パインはアヤの言葉を思い返す。

「『よく』ってことは、いつも追われているのか？あのペンギン」

「プロモーターとしての腕は悪くないんだろうけど、ちょっといい加減そうだもんね」

「ちょっとどころじゃなさそうだがな」

「云えてる」




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