Lv2 永遠のナギ節
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手を繋いで、キミと、逃げていた。銃を手に追ってくるたくさんの足音から。
でも、彼等から逃げているんじゃない。
もっと大きくて、もっと凶悪で、どんなに走っても、逃げ切れない、何かーーー
「あっーー」
後ろを気にして躓いた。キミが慌てて助け起こす。
言葉を交わせないほど、とうに息は切れていて。それでも必死に走る。
どんどん足音は迫ってきて、私もキミも、もうダメだと思った時
『それ』が目の前に現れた。
逃げているつもりだったのに、引き寄せられていた。
足音だけでなく、兵の姿も見えた。
もう、ダメーーー
兵士たちは銃を構える。
私たちは、『それ』の前で固く抱き合い見つめあった。キミはいつもと同じ、優しく微笑む。
私の目に涙が滲み、唇を噛み締める。銃声より早く、私たちの身体に弾丸がめり込んだ。
崩れ落ちる身体を、『それ』は冷たく見下ろしている。
でももう、私の目には映らない。
私が最後まで見ていたのはーーーキミ
「ーーー何っ!?」
ガバッと上半身を起こすと、ユウナは辺りを見渡した。自分の部屋のベッドの上であることを確認すると、ほっと胸を撫で下ろす。
「夢・・・?」
にしては、妙にリアルだった。
キミの手の温もりも、恐怖も、痛みもーーー
ベッドから下りカーテンを開けると、太陽はとっくに高くなっている。
すっかり寝坊したようだ。
部屋の扉を開けると、リュックとパインもちょうど出てきたところだった。
「おはよう、ユウナ。どうしたんだ?浮かない顔してるぞ」
「おはよう、パイン、リュック。変な夢・・・みたせいかな」
「そんなの着て寝たせいだよ」
リュックに言われ、ユウナは自分を見下ろす。
「あーー」
ゆうべ、みんなの前で歌ったときに着た衣装のまま、眠ってしまっていた。
あの夢も、リザルトプレートの成せる技(わざ)なのか。
この歌姫と名付けたスフィアの記憶と、自分の記憶が混ざり合ってしまったのか。
ユウナは暫く考えていたが、なにもわからないと頭を振り、部屋へとって返すと元の姿に戻った。
3人は遅い朝食をすませブリッジへ行くと、夕べ演奏をしてくれたバンドのメンバーを幻光河まで送り届けた後だった。
自動操縦に切り替え、アニキとダチが何やら思案顔で立っていた。
「どうしたの?」
ユウナが声をかけると、2人は顔を向ける。
「返すって決めたのはいいけど、どっちにするか迷っててな」
「青年同盟と新エボン党ーーどっちもどっちだし」
「どっちがいいと思う?」
アニキはユウナに意見を求める。
「リーダー命令に従うっす」
「よし!ユウナが決めてくれ。リーダー命令だ」
「あ、ずるい!」
上手くかわしたつもりだったが、逆に決断を任されてしまった。
いつもは自分で決めたがるアニキなのだが、今回は決められなかったのだろう。
直ぐに決めかね、ユウナは考える時間が欲しいと、ブリッジを出た。
食堂でお茶でも飲みながら考えようとリュックが提案すると、ユウナは頷く。
食堂のカウンターには、やっと起きてきたアヤがコーヒーを飲んでいた。
「アヤ~珍しいね~いつも早いのに」
「うん・・ちょっとね。で、ユウナ、浮かない顔してるけど、何かあったの?」
「実はーーー」
「そう・・で、どうするの?」
「新エボン党は、名前からして何かヤな感じなんだよね~」
「青年同盟は、危なっかしい。ほとんど暴走しかけてる」
「う~ん・・どうしよ~」
リュックとパインの意見は、どちらに返しても事態の悪化を促しそうだ。ユウナはカウンターに突っ伏す。
「アヤさんはどう思います?」
「そうねぇ・・・新エボン党に返すと、ますます隠蔽がひどくなるかもね。青年同盟に渡すと、暴走に拍車がかかるかも。でもーー」
「でも?」
「でも、キーリカの騒動は収まるかも」
青年同盟が寺院に詰め寄らなければ、森の道を封鎖することをやめさせられるかもしれない。
「どうする?」
ブリッジへ行くと、アニキが待ち兼ねたように訊く。
「決まったか?ユウナ」
「うん」
「よし、カモメ団出発だ!!」
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