Lv1 空を駆ける船
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
歩いては立ち止まり、探知機で洞窟内を探る。
「探知機の反応、どう?」
リュックが身体を左右に捻って反応を見ていると、探知機の端が赤く点滅する。
「ん~と・・・あっ!出たっ!!」
「どれどれ!」
3人はリュックの掌を覗き込む。
「もうちょっと奥ね」
「ワッカ~!!」
響いてきた声に、しゃがんでボンヤリしていたワッカは、弾かれたように立ち上がる。
「おう、どうだった!?」
「はい」
差し出されたスフィアに、ォオッと感嘆の声が漏れる。
「ねえ、見てみようよ」
期待を込めて、再生のスイッチを入れる。
果たして、スフィアに映し出されたのはーー
海風に揺れる木々や流れ落ちる滝にかかる虹ーーービサイド島の美しい景色だった。
「・・・これ?」
リュックがワッカを見上げると、ワッカは首を振る。
「いやーー違うな。ありがとな、探してくれて。ルーが心配するから、村へ戻るか」
洞窟を出ると、ワッカは無言で歩いていく。後ろからついて行きながらリュックが口を開く。
「結局、何のスフィアを探してたわけ?」
「そりゃあーーー俺たちの両親だ。チャップはそう言ってた」
「チャップさんが?」
「チャップ?」
「チャップって・・あ、ワッカの弟だ!」
「討伐隊に入ってたけど、今は異界の住人だ。チャップが生まれてすぐ、両親がシンにやられた。俺も小さかったから、ふたりとも親の顔は覚えていない。でもよ、ガキの頃、兄弟ゲンカしたらチャップが言ったんだ」
『父ちゃんたちが映ったスフィアを見つけたけど、どこにあるか教えてやらない』
「チャップさんに、場所を聞かなかったの?」
ユウナに問われ、ワッカは頭を掻く。
「弟に頭下げて聞くのが嫌でな。意地張ってーーーそれっきり忘れてた。でも、昨日お前らと話してたら思い出したんだ。あいつはよくあの辺で遊んでた。その時、洞窟に入り込んで、見つけたのかもしれない。そんで来てみたんだけど・・急にモヤモヤしちまってよ」
「なんで?」
「俺、親の顔を勝手に想像してたんだ。強そうで、優しそうな顔をよ。辛い時とか、よくその顔を思い浮かべたもんだ。でも、本当の親は、全然違う顔かもしれねぇ。そう考えると、見つかったとしても見るのが怖くてな。お前らが来るまで、ずっと悩んでた」
「ワッカらしいねぇ」
「そのスフィアって、島のどこかにあるのかな。私たちが探そうか?」
「いいっていいって!そういうの気にするのはもうやめだ。昔の事にこだわって、ウダウダしてちゃいけねぇよな。俺だってオヤジになるんだし、もっとしっかりしねぇとな」
「頑張ってね、おとーさん!」
リュックが思い切り背中を叩いて激励する。
「おう!」
だが、振り上げかけた拳を止めた。
「けどよーーー『しっかり』するっつうのは、どうやったらいいんだろうな?『しっかりした父親』ってヤツのお手本が欲しいよなぁ」
再現無く続くワッカの悩みに、ダメだこりゃーーと、リュックは呟いた。
その様子に苦笑いしていると、ユウナの通信機が鳴る。
スイッチを入れると、ダチのうんざりした声が聞こえてくる。
『あのな、そろそろ戻れそうか?アニキが五月蝿くてかなわん』
「うん、すぐ戻るよ」
.
