Lv1 空を駆ける船
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「俺は、ちょっと寺院にヤボ用があるんだ。先に行っててくれ」
ワッカと別れると、2人の家へ訪れる。
家の前で、ユウナは深呼吸をひとつして、中へ入った。
「ただいま、ルールー」
「お帰りなさい」
突然の帰郷にも、ルールーは驚いた様子も見せずに返事をする。
少し拍子抜けした顔のユウナの後ろから、リュックが顔を出す。
「ねえねえ、赤ちゃんは?」
「まだよ。ワッカがひとりで先走ってるだけ」
「な~んだ」
苦笑するルールーに、リュックは残念と肩を落とす。
「それよりどう、少し歩かない?」
「大丈夫?」
「少しは動いた方がいいの。それに、ユウナが帰って来たって知ったら、村のみんなが離してくれないわ。落ち着いて話したいしーーー行きましょう」
村へ歩いた時より、だいぶゆっくりとした歩調で祈りの像の前へと戻った。手頃な石の上に腰を下ろすと、ルールーは早速切り出す。
「さ、聞かせて。何も言わずに出ていった理由」
きっと聞かれると思って、ユウナは用意してあったスフィアを見せる。
「これなのーー」
両手で差し出されたスフィアを、繁々と見つめる。
「例のスフィアね。ワッカから聞いてる」
「キマリが、ガガゼトで見つけたんだって」
見終えると、ルールーは暫く黙っていたが、考えがまとまらないのか、助けを求めるようにアヤを見上げる。
「・・・・確かに似ているわね、少し雰囲気は違うけど。アヤさん、どう思います?」
「そうねぇ・・スフィアの“彼”の方が、いい男だと思うわ」
「アヤさん!」
「私も同感です」
笑いを堪えながら、ルールーはアヤに賛同する。
「もう、ルールーまで」
「で、何かわかったの?」
「何も・・でも、まだ調べてないところもたくさんあるんだ」
「楽しそうじゃない?自由にあちこち飛び回って」
「うん、楽しい。こういう旅、初めてだし」
「私がいないから、羽を伸ばせるってわけ?」
「かもよ」
「言ってくれるわねぇ」
昔のような軽口に、笑いがおこる。ひとしきり笑いあった後、ルールーは真顔になる。
「頑張ってね。ただ、ユウナは自分の立場を忘れないで」
「え?」
「“シン”を倒した大召喚士ユウナーーー。その名前、利用されないように」
『シンを倒した大召喚士ブラスカの娘』
2年前も、その名前を利用しようとした者がいた。
それでも、それが人々の心の安寧に繋がればと、自分を殺してそれを受け入れようとした。でもーーー
「大丈夫。私、もう誰にも利用されたりなんかしない」
キッパリと言ったユウナに、ルールーは嬉しそうに口を開く。その時
「あーー」
「どうしたの?」
「動いた」
「ほんと!?」
「さわらせて!」
遠巻きに見ていたパインは、はしゃぐリュックとユウナに微笑んだ。ふと、アヤも自分と同じように微笑んでいる。
パインは、アヤは自分より2人に近いと思っていた。
でも今のアヤは、2人より自分に近いのかもしれないと感じた。
「ルールー、そろそろ戻りましょう。帰りが遅いと、ワッカが心配するわ」
「そうですね」
ルールーは笑いながら立ち上がる。
「ユウナ、今日は泊まっていけば?」
「うん」
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