Lv1 空を駆ける船
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家出娘、うちへ帰るーーーこんな気分なのかな。
ビサイドへは、旅立ってから初めて帰るんだ。
変わらず美しい海に着陸したセルシウスから砂浜へ降りると、慣れ親しんだ道を歩き、村へと向かう。早まる歩調とは裏腹に、心はーー
「緊張しちゃうな」
昔、欠かさず祈りを捧げていた峠の遺跡で、ユウナは立ち止まる。
「な~んにも言わないで飛び出しちゃったもんね」
リュックの説明に、パインはヘェとユウナを見た。
「まったくだ」
「あ!!」
背後の声に、ユウナとリュック同時に振り向く。果たしてそこには、仏頂面をしたワッカが腕組みをして立っていた。
「村中、大騒ぎになったんだぞ」
「・・・ごめん」
「ま、元気そうで何よりだ。アヤさん、久しぶりです」
「久しぶり。ワッカも元気そうね」
「えぇ、相変わらずです。ユウナ、ツレか?」
ユウナたちから少し離れて立っているパインに、顔を向ける。
「あ、パインっていうの。一緒にスフィアを探してるんだ」
パインはワッカに軽く目礼する。
「スフィアハンターか・・噂は聞いてる。だもんで、実はあんまり心配してなかったんだ。アヤさんも一緒だしな」
「ワッカは相変わらずだね~ぷにぷに」
現役を離れてすっかり弛んできたワッカの腹を、リュックは指を突っつく。ワッカはくすぐったそうに身をよじる。
「やめれって。俺だって、もう父親になるんだしーーカンロクがあった方がいいんだよ」
「産まれそうなの?」
「おう!」
「ワッカがお父さんかぁ」
「俺も、全然実感わかねぇんだけどな」
照れながらも嬉しそうに頭を掻くーーーと、真顔になり
「なぁ、父親ってのは、どんな顔して子供を迎えりゃいいんだろうな?」
「自分の親をお手本にするとか?」
リュックは顎に指先を当てて、首を傾げる。そのアドバイスに、ワッカはお手上げと両手を上げる。
「な~んにも覚えてない。俺が小さい頃シンになーー」
「そっか・・」
「スフィアも残ってないんだっけ」
「あぁ、な~んも。あーー」
何か思い出したように空を仰ぎ、そのまま動かなくなる。
「どうしたの?」
「なんでもねぇよ。それより、あれだ。お前らルーにも顔見せて、安心させてやってくれ」
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