Lv1 空を駆ける船
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下へ向かっていくと、内部へ入れそうな場所を見つける。
「あそこから、上へ行けるか行ってみよう」
薄暗い内部を進むと、光が射し込んでいるのに気付いた。その場所から外へ出ると、先ほどセルシウスから飛び降りた場所が下に見える。
「ねえ、レーダーの反応は?」
「う~んとね・・」
リュックは小型のスフィア波探知機を取り出し、スイッチを入れる。
「お、反応あるよ」
赤く点滅する探知機を2人に差し出す。
「このまま上に行けそうだし、スフィアはいただきだね」
「あーーっ」
突然、背後から声がした。
「誰!?」
振り返ると、女が膝をついている。躓いたらしい。
慌てて立ち上がると、胸を張る。
「ル、ルブランだよ!覚えておきな!」
「あぁ、アヤさんにしつこく絡んでるどろぼうね」
「何で アヤに絡んでるのか知らないけど、アンタなんか、全っ然アヤに敵わないんだからね」
「だから、ルブランだって言ってるだろ!」
「かまうと面倒だから、てきとーに」
リュックがユウナに耳打ちすると、ルブランはカッと目を見開く。
「そこの!聞こえたよ!だからシロートはやなんだよ。あの女、アヤもそうさ。なんのスフィアを探しているのか知らないが、本物のスフィアハンターってもんを、全然理解出来ていない」
「私たちをつけてきたくせに、えらそーに」
「つけてなんかない!偶然だよ、偶然!」
「やっぱり、お嬢の言うとおりーー」
「こいつらをつけてきて、正解でしたね」
剥きになって言い訳するも、後から表れたウノーとサノーが暴露してしまう。
プッと吹き出すリュック。ユウナとパインも、肩を震わせて笑っている。
「笑うんじゃないよ!こうなったら、先にお宝は戴くよ!」
ルブランは3人の足下に、ボールのような物を投げる。途端に、辺り一面煙りが立ち込める。
ゲホゲホと咳き込みながら、手で煙を掻き分けた。
「ずるい!!」
「ひどいよこれ~~」
「しめてやる」
煙が消えると、ルブランたちを追って、走り出す。しかし、以外と逃げ足が早く、姿が見えない。
そのうち、外階段のようになってしまった場所を上っている時
「ルブランたちに追い付かないね」
「もう、スフィアを取られちゃったとか?」
「まさか、そんなに時間は経ってーーー」
「どうしたの?」
「あれ」
ユウナが指差した先に、外壁にぶら下がっているルブランたちがいた。足を踏み外したらしい。
見下ろしているユウナたちに気付く。
「じろじろ見るんじゃないよ~!!」
「今のうちに、スフィアをいただいちゃおう」
探知機に導かれ、遺跡の最奥でスフィアを発見する。
「あった!」
喜びに湧く3人の前に、擦り傷だらけのルブランたちが現れる。
「ふん!あたしにはわかるよ。そのスフィアはスカだね。あんたたちにはお似合いさ!」
ウノーとサノーの手を借りて、ルブランは捨て台詞を残して去っていく。
「若さの勝利~」
「では、いっただきま~す!」
スフィアを手にしたユウナたちは、遺跡の外に出る。
上空に浮かぶセルシウスが、影を作った。
「アニキ、任務完了!」
通信機で報告すると、ダチから意外な返事がくる。
「アニキ、そっちで会わなかったか?」
「へ?会ってないよ」
「しょうがねえな、探すか。そうだ、ユウナ」
「何?」
「キマリから連絡があった。行くか?その間に、アニキを回収してアヤを迎えに行ってくる」
「キマリが?なんだろう」
通信機を切ると、アヤは雷平原をホバーでぬけ、マカラーニャの森の入口で降りる。
2年前の旅路に比べれば、随分と短い時間で抜けられるようになった。
アルベド族が避雷針を改良してくれたおかげで、以前より落雷が減ったせいだろう。時には、雷が鳴らない日もある。
祈り子がいなくなりスピラの地が変わっていっているのかもしれない。
その最たる変化が現れているのが、マカラーニャだろう。
氷の湖にあったマカラーニャ寺院は、もう見ることが出来ない。
氷が溶け、今や湖の底に沈んでしまったからだ。
こうやって、シンがいた時代の名残は、無くなっていくのだろうか。
それは、これからスピラで生きていく者にとって善いことなのだろう。
でもーーこの平和を取り戻すために散っていった者たちも忘れられていくようで、少しだけ淋しかった。
「森の終わりは・・近づいている」
マカラーニャの森に暮らしている、身体の一部が楽器のように変化している亜人種の、ベライが呟いた。
彼らの種族もだいぶ数が減り、あと数年で湖に沈んでしまうこの森と、運命を共にすると言っている。
この森に身を潜めている彼らも、最近同じ事を言い出してアヤを悩ませていた。
「シンがいなくなっても、思い描いた通りにいかないわね・・アーロン」
スフィアの泉に向かいながら、アヤは独りごちた。
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