Lv5 アカギスフィア
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そうは云っても、キノックも誰彼構わず探させるわけにもいかなかったのだろう。
数年は老師としての任に追われ、ヴェグナガンの捜索は進まなかった。
そんな時、シーモアが父ジスカルを殺し、老師となった。
ジスカルは、結局グアド族に寺院の教えを浸透させることが出来なかった。
だが、人とグアドの子であるシーモアならーーと、マイカは期待していたようだ。
人々の薄らいでいく寺院への信仰を、いちばん憂いていたのはマイカだろうから。
礼儀正しく人当たりのよいシーモアは、マイカを始め人々の信頼を得ていく。
それを目の当たりにしたキノックは、焦っていた。
「ジョゼ海岸の防衛作戦で、多大な犠牲者を出してしまったキノックは、寺院の主導で精鋭部隊を育成して討伐隊に配備し、犠牲者を減らすことを提案したの。それはすぐに了承され、候補生の募集が開始された」
「筋はーー通っている」
それに応募したパインは、複雑な感情を浮かべている。当然だろう。
「表向きはね。でも、本当は討伐隊を私物化したかったのよ。
力をつけてきたシーモアを恐れ彼に対抗するために強固な、いえ、絶対的な武器が欲しかった」
「それで、ヴェグナガンーー」
「でも、ヴェグナガンの存在は伝えられていたけど、正確な場所はおろか、どんな武器なのかもわからなかったの。
そんな時、ある報告がキノックの耳に入った。
キノコ岩の谷底にある洞窟に、何か巨大なマキナの幻影が見えると噂がたっているーーてね」
ベベル寺院での捜索が行き詰まっていたキノックは、その噂に響輝乱舞した。
すでに決定していたミヘンセッションを指揮する傍ら、アカギ候補生の最終選抜と称して彼らをキノコ岩に呼んだ。
結果は見た通り、アカギ候補生はほぼ壊滅し、ヴェグナガンの手がかりは見つからなかった。
彼にとって、私も含めすべての兵士は捨てゴマ。
自分の指示で惨事を引き起こしてしまったキノックは、立場を守るためにウノーとサノーに生き残った候補生たちの殺害を命じた。
そんな仕事に嫌気がさしていたふたりは、そのまま出奔してしまった。
「それで、ルブラン一味に・・・」
「シーモアはキノックを殺す前に、あの洞窟での詳細を白状させたんだと思う。もし、他の者がヴェグナガンを探しだし、シンを倒してしまったらーー」
「自分がシンになり、全てを破壊することが出来なくなる。だから、洞窟の封印をより強固にした」
アヤはユウナの顔を見て頷く。
「うん。私たちがシンを倒した日の朝、アーロンに訊ねたの」
『アーロンーーどうしても、聞いておきたいことがあるの』
『ーー何だ」
『ベベル寺院で始めて私と会った日ーーあの場所でキノックと何をしてたの?』
『ーーお前が気にすることじゃない』
『探してたんでしょーーヴェグナガンを』
アーロンは、仕方ないとため息をつく。
『当時の軍団長に命令されて、キノックとヴェグナガンを探していたのは本当だ。
軍団長は野心に溢れていたから、シンを倒して総老師の座でも狙っていたのだろう。
しかし、正直俺たちは探しあぐねていた。
どんな形状の武器なのか、命じた軍団長ですらわからなかったのだからな。
だが、長い間秘匿されるには、それなりの理由があるはずだ。
あの地下で、それを肌で感じた。のちに軍団長が、自分の娘とキノックを
知り合ってからいちばん険しい目を、アーロンはアヤに向けた。
『アヤ、ヴェグナガンには関わるな。約束してくれ』
『・・・はい」
『必ずだぞーー』
ユウナがルカスタジアムで永遠のナギ節を宣言した後、私はベベルの家に戻った。
そこへ、ギップルが訪ねてきた。
アーロンを写したスフィアと引き換えに、探して欲しいスフィアがあると。
「そのスフィアが、このアカギスフィアよ。その時に、洞窟で起こったことを詳しく聞いたの。
さっき、最終試験の事を知っているみたいに言ったけどーーギップルに聞くまで詳しくは知らなかった。
ギップルは撃たれた怪我が治った後、洞窟の入り口まで行ったそうよ。でも、その時は魔法で封印されただけだったって」
魔導師を呼べば解除出来るだろう。
しかし、あの惨劇がまた繰り返されるかもしれない。
そう思い、その場を後にした。
「随分経って行った時は、既に今の封印が施されていたそうよ。その時、偶々持っていたスフィアを嵌めてみたんですって。でも、なんの反応もなかった。それで、ギップルは考えた」
「あのギップルが?」
おどけてリュックが言った。
「天地が逆になるぞ」
「まぁそれはともかくーー」
アヤは笑った。
「アカギ候補生だった時、訓練を記録したスフィアがあったのを思い出して、そのスフィアじゃないかって。
推測でしかないけど、あの場所の封印に、その辺のスフィアを使うとは思えない。
話を訊いて、それに賭けてみることにしたの。
ギップルが掴んだスフィアの情報をグアドサラムの情報屋に流して、それを私が買うーー」
「随分回りくどいやり方を選んだんですね」
「うんーー」
永遠のナギ節が訪れた際、エボンの欺瞞が暴かれ、ひと頃寺院は崩壊していたの。まぁ、仕方ないけど。
その頃、エボンの遺物として洞窟の封印の噂が、寺院に広まった。
噂を聞き付けた青年同盟が、調査をして洞窟を見つけた。
ギップルが私を訪ねてきた後にね。
青年同盟が直ぐに『封印の洞窟』と名付けて管理下においてしまった。
「ヌージが、どうしてパインたちを撃ったのかわからないけどーーあの時のヌージは、人が変わったようだったって。
だから、封印を解いて真相を暴こうとしていることは、秘密にしたほうがいいんじゃないかってギップルが。
今思えば、その判断は正しかったわけね」
ヌージの身体に入っていた"彼"ーーシューイン
シューインの思念が、ヌージにヴェグナガンの知識を与えた。
そういういきさつでスフィアハンターを始めて、たまたまミヘン街道の旅行公司に泊まった時に、リンに会った。その時ーー
『そういえば、2年ほど前、アヤさんたちがここへ立ち寄られた後、不可解な出来事がありました』
そこで聞いたのが、私たちがジョゼ海岸に向かった数日後、旅行公司の近くでいかにも訳アリの3人の男女を助けたことだった。
『ひとりはアルベド族だったので、聞いたのですが、何も喋りませんでした』
『あなたが手当てしたの?』
『いえ、応急措置でしたが、すでにーー』
「・・・・・」
「どうしたの、パイン?」
「何でもない」
「倒れていた彼らの回りに、スフィアが散らばっていた。渡そうと思い拾い集めておいたが、怪我が治りかけた頃3人とも居なくなっていた。
そこで、ナギ平原の旅行公司へ向かう途中に、ベベル寺院にスフィアを届けた。そう云われて確信した。
その後、シーモアはスフィアを手に入れたんだと思う」
「それを、洞窟の封印に使った」
アヤは頷いた。
「アカギ候補生がほぼ壊滅した場所の封印に、アカギ候補生の記録スフィアを使うなんて、彼なりの皮肉かしらね。
最初はギップルと2人で調べていたんだけど、マイカ総老師に代わって党首になった男性はちょっと独断的で、寺院の中が調べにくかったの。まだまだアルベドに対する偏見が根強く残っていてーーゴメン」
リュックの悲しそうな顔に気付き、アヤは余計なことを言ってしまったと詫びた。
「ううん、アヤが悪いんじゃない。正直言うとさ、アタシも感じてたんだ。でも、今は全然だよ。みんな、マキナを便利に使ってるしね」
「うんーーで、相談の上、ギップルがバラライに打ち明けて仲間に引き込んだ。
というより、進んで仲間になった。彼も、ヌージの真意を知りたがっていた。
それで、バラライには新エボン党に潜入してもらったんだけど、まさか党首を追い出すとは思わなかった。まぁ、やり易くなったけどね」
「それで、見つけたんですね、ヴェグナガンをーー」
「えぇ、見つけたわ」
そこまで言うと、アヤは一度口を閉じた。
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