Lv5 アカギスフィア
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「こりゃひどいやーーーえぇっと、えーアカギ隊員選抜、最終演習の生存者はありませんーー以上!」
鯱こばった態度と声で、ウノーは言った。隣には苦虫を噛み潰した顔のサノーが立つ。
「勝手にまとめるな、よく数えてみろ。死体の数が足りないだろう。候補生3人分と記録係もいたはずだな」
「ってことは?」
「3たす1。で、生存者は?」
「死に損ないは4人だ。わかっているな」
当然のように、キノック老師直属の僧兵はいい放つ。
『わかっているな』の裏の意味に、サノーは小さく息を吐く。
「ーーやれやれ」
「何か言ったか」
「いーえ、とんでもございません」
ーーーーーーーー
全てのスフィアの再生が終わった。ユウナたちは、アヤの言葉を待つ。
「少し、昔話を聞いてねーー私の故郷は、ビサイドよりも、もっと小さな島だった。
祈り子さまのいない形だけの寺院には、年老いた僧侶がいるだけで、ひなびた島だったからかシンによる被害は1度もなかった。
でもある時、島の近くにシンが現れた。偶々漁に出ていた両親が、シンに殺されてしまった。
召喚士がいない島では、異界送りも出来ない。そんな時、両親の訃報を聞いたブラスカから手紙が届いた。ベベルに来ないかってーー父は、ブラスカの遠い親戚なの」
そうして、ベベルでの生活が始まった。
「ベベル寺院に住むことになった私は、ブラスカの口利きで寺院で働くことになった。
ユウナはわかると思うけど、ベベル寺院は元々あの大きさの建物じゃなくて、長い間に増改築を繰り返してきたから内部は見た目以上に複雑でーー慣れない私は、よく迷子になっていた。
ある日、迷い込んだ場所で、アーロンとキノックに出逢ったの」
その出逢いを機に、ふたりと親しくなった。
「その後はみんなも知っている通り、この世界に来たジェクト、ブラスカとアーロンと私は究極召喚の旅に出て、ジェクトが祈り子になりブラスカはシンを倒した。
ベベルがナギ節に浮かれていた頃、その当時の僧兵軍団長のひとり娘とキノックが結婚した。
正直、出世には興味がないと言っていたから、驚いたわ」
結婚をしたキノックは僧兵軍団長になり、そののち老師になる。
義父の後押しもあったが、彼自身も色々手を尽くした。
その中には、人に誇れないようなことも含まれていたがーー
ベベル寺院には各々老師の執務室があって、ある時、究極召喚の旅を改めて労いたいと呼ばれた。
執務室の扉を開けると、重厚な机の向こうに満面の笑みのキノックが座っていた。
「アヤ。長旅、本当にご苦労だった。アーロンの友人として鼻が高いよ」
キノックとお喋りするの、好きだったのにな。
才知に富んだ人だったのに、今は自慢話をするばかりだった。
「ところでアヤ、君はアーロンから聞いてないかい?」
何故か、勝ち誇った顔をした。
「ーー何を?」
「ベベル寺院のどこかにある、スピラの古の兵器『ヴェグナガン』を」
「ヴェグーーナ、ガン?」
「老師と軍団長である司兵卿のみに知らされる、ベベル寺院の最強機密の名さ」
私は知らないと首を振った。
「実は君と始めて会った時、アーロンとヴェグナガンを探していたんだよ」
「どうして、そんなものーー」
「どうしてって、それがあればシンを倒せるじゃないか。
でも、私がヴェグナガンを探していることは内緒にしてくれ。
ヴェグナガンでシンを倒すことを、よく思わない輩もいるからな」
あの時は、よくわからなかった。
今なら、イヤになるほどよくわかる。
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