鋼の錬金術師 Trick or Treat
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「大佐!!」
ノックもせずに執務室に入ると、書類に目を通していた件の人物は、露骨に厭な顔を向けてくる。
「なんだね、君たちは。ノックぐらいしたまえ」
エヘヘと笑うと、3人はマスタングの前に並んだ。
「大佐、トリック オア トリ-ト!!」
中央にいるマリーゴールドが、帽子を逆さに持って、マスタングに差し出す。
「お菓子くれなかったら、イタズラしちゃうぜ」
「むしろ、それが目的ではないのか?」
「あ、わかります?」
愉しそうに言うエドワードとアルフォンスに、仕方ないなと、引き出しを開ける。
「3人で分け給え」
黒に、細い金文字で店名が入っている包装紙にくるまれた箱を帽子の中に入れた。
「ありがとうございます」
マリーゴールドが礼を言うと、右からエドワードが覗き込む。
「なんだよ、ケチくさいな。1個かよ」
「兄さん」
「イヤなら、返してくれて――」
「いただきますー」
素早く箱を掴むと、ソファーに座って包装紙をビリビリと無造作に破る。
箱の中でキチンと仕切られたトリュフを摘み、口に放り込んだ。
「うまい!!」
開口一番、叫んだエドワードをよそに、マリーゴールドは包装紙に印刷された店名を見ている。
「どうした?マリィ。食わないのか?」
「え?あ、うん。食べるよ」
―――この店、確か有名なケーキ屋さんの・・・しかもこれ限定品で、一週間前から予約しないと買えないはず・・・
チラリとマスタングを見ると、肘をついて此方を見ていた彼が、その視線に気付き、フッと笑う。
滅多に見せない、慈愛に満ちたマスタングの笑みに、マリーゴールドは思わず顔を赤らめた。
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