キングダムハーツ バースバイスリープ 挑発



アクアは、エラクゥスの前に進み出た。
そして、徐に腰に手を当てると

「あんたなんか、目じゃないわよ!」

高飛車な態度で、言い放った。

エラクゥスはアクアをジッと見ていたが、やがて大きなため息をついた。

「ハァ~ダメだダメだ、アクア。そんな《挑発》では敵はバーサクにはならん!!」

「いえ、あの、その《挑発》はーー」

「黙れ!!そんなことでは、マスターの称号は与えられん!!」

アクアはエラクゥスの勘違いを指摘しようとしたが、逆に一喝され、言葉を失う。

「そ、そんな・・」

ガックリと膝を折り、修行を重ねてきたこの部屋の、床に手をついた。

「教えて下さい、マスターエラクゥス!!
私の挑発の、どこがいけないのでしょうか!?」

見上げる真摯な眼差しを、エラクゥスも見つめ返した。

「アクア。お前には、テラやヴェントゥスにない武器があるではないか」

「テラとヴェンにはない、私だけの武器?」

身を乗り出すアクアを、テラとヴェントゥスが心配そうに見ている。

「そうだ、《女の色気》という最大最強の武器が」



「ーー!!」





ーーそうだわ、どうして気づかなかったのかしら。
この豊満な肉体で、セクシーなポーズをとれば良かったんだわ。
私の魅力をもってすれば、イチコロよ!!





「マスターエラクゥス、もう一度、チャンスを下さい!」

すっくと立ち上がったアクアに、エラクゥスは頷く。

「うむ・・やってみろ」

「はい!!」




やや斜に構えると、アクアは両手を頭の後ろに廻した。
膝を曲げて豊満な肢体をくねらせると、伏し目がちに微笑んだ。

「うふ・・ンっ」

エラクゥスに、妖しく笑みを送る。
だが、エラクゥスは全く表情を変えない。



ーーこれじゃダメなの!?



「あっは・・ン」

今度は前屈みになり、両腕で胸を強調した。
そのまま唇をすぼめ、悩ましい眼で誘惑する。

ーーえっ、これでもダメ?じゃあこれは!






次々とポーズをとるも、エラクゥスの口からは合格の言葉は出なかった。


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