パーティーへの招待状
ヴァージン・ロード
永久の愛を誓う、甘く切ない道のり
その道の終着点に立つ、白いタキシードの貴方の隣りに似合うのは
優しくてたおやかな大人の女性
子どもの私は似合わない
ずっとずっと そう思ってた
「あーー」
待ち合わせ場所に立っていたカナリィは、行き交う人混みの中に見知った顔を見つけた。
ファンに手を振りながら歩くティーダと、彼の手にしっかり指を絡ませるユウナ。
「もう10年になるんだ」
ブラスカが、幼いユウナを連れて島へやって来た10年前のことを思い出した。
次期老師と噂されていた高名なブラスカの永住に、ビサイド中がお祭り騒ぎだった。
落ち着いた立ち居振る舞いと博識な彼は、すぐに島中の尊敬を集めた。
そんな中、彼の優しい笑みと包容力の深さに、カナリィの想いはいつしか尊敬から愛情に変わっていった。
「結構、長いんだな・・」
「そんなに待たせてしまったかい?カナリィ」
長い片思いを思い出して呟いた言葉に、不意に返事が返って来た。
俯いていたカナリィが顔を上げると、そこにはブラスカが立っていた。
いつも身に着けている寺院の堅苦しい服ではなく、ライトグレーのタキシードにブラウンのプレーントゥの靴。
被りもので隠れているダークブロンドの髪は、今日は綺麗に撫でつけられていた。
その彼が手にしているのは、ロッドではなく、枝を束ねただけの無造作な“ユウナ”の花だった。
ユウナの花は、時間によって彩りを変える。
日中は黄色に
夕方はオレンジへ
ブラスカの愛娘ユウナのようだと、カナリィは花を見つめた。
「私が持っているのも無粋だね。カナリィ、会場まで持っていてくれないか?」
「うん」
そう差し出すユウナを受け取ろうと、カナリィは腕を伸ばす。
オフショルダーのAラインドレスの、七分袖から覗く細い腕。
紅紫の桜を想わせる、紫色のシルクタフタ。
肩の上で大きくカールする髪を、コサージュの着いたボンネのヘッドドレスが飾る。
いつもクセ毛をセットしようと悪戦苦闘するカナリィを思い浮かべ、ブラスカは微笑んだ。
「ブラスカ?」
これからも美しく咲き誇るであろう彼女を、ずっと見詰めていたいーー
傍にいたい気持ちに、素直になろう
「あの子には愛する人が出来て、あの子を愛し、守ってくれる人が出来た。
いままで、君の気持ちに気づかないふりをしてすまなかったね。
カナリィ・・結婚してくれないか」
突然のプロポーズに、嬉しさで唇が震える。
「あたしだけが持ってるのも無粋だよね」
カナリィは、受け取った花束から一輪手折ると、ブラスカの胸ポケットへ挿した。
プロポーズを承認した証の、ブートニア。
「これからは一緒に幸せになろうね、ブラスカ」
涙の滲んだ瞳で見上げると、ブラスカは頷いた。
「あぁ・・これから、何があってもふたり一緒だ」
どちらともなく手を取り合って歩き出すと、ブラスカは思い出したように笑う。
「何?」
「アーロンとジェクトに冷やかされそうだ」
自分の気持ちに気付き、背中を押してくれていた二人のことを思い浮かべる。
「いいじゃない、羨ましがらせてあげようよ」
カナリィの発言に、目を細める。
「そうだね、そうしよう」
ふたりは、ザナルカンドの人混みに紛れて行った。
*プロポーズの返事はカナリィ様に書いて頂きました。
