パーティーへの招待状
ピンク・シャンパン
シャンパングラスに立ち上る、細かく淡いピンクの泡
あわせたグラスの中で、ワルツを踊るラズベリー色のワイン
甘い喉ごしに惑わされ、いつしか我を忘れる
甘いだけじゃないのよ。
アナタをワタシの虜にするくらい、魅惑な薫り
今日だけは あなたを誘惑する
ガラスの靴のシンデレラ
船体が大きく揺れた。
とめは、思わず短い悲鳴を上げる。
『エル~とめ~、ザナルカンドに着いたぜ~。乗降口に来てくれ~』
「ーーまたラグナオジサンが操縦したのね」
テーブルの上に散らばったスワロフスキーのラインストーンを、エルオーネは苦笑しながら皿に戻す。
「相変わらず、好奇心旺盛なのね、ラグナさん」
「もう、何でもやりたがるのよ。子供みたいに」
拾い集めたストーンを、ピンセットで摘み上げた。
それを、とめの白く細い爪に施した、ピンク色をベースにしたフレンチネイルに飾り付ける。
その上に仕上げのトップコートを塗ると、満足のいく出来栄えに微笑んだ。
「すぐに乾くから」
「うん。ありがとう、エルオーネ」
両手を広げ、煌めくスワロフスキーを眺めた後、とめは椅子から立ち上がった。
エルオーネがバッグを手渡す。
「ラグナオジサンも、少しは落ち着いてくれればいいんだけど。スコールみたいに、素敵な彼女でも作ってさ」
そう言う彼女に、とめは照れくさそうな笑顔を向けた。
タラップの下で待っていると、頭上からヒールの音が聞こえた。
肩越しに視線を向けた。
「お待たせ、スコール」
肩の上でふんわりと揺れる髪。
首元のオーガンジーの花のついたチョーカー。
繊細なシャンテリーレースの花が胸元に咲く、シャンパンピンクのドレス。
細い腰から緩やかに広がる裾。
その裾を弾ませる脚には、いつもは履かない、華奢なヒールの靴。
ドレスと同じ色の靴は、足首を留めるストラップに、スパンコールがついた小花が沢山咲いていた。
ゆっくりとタラップを降りて来るとめを、スコールは瞬きも忘れ見つめた。
「行こ、スコール」
腕を組もうとすると、スコールのそれが彼女の背中に廻った。
少し驚いてスコールを見上げると、見下ろすスコールにも、僅かに同じ色が浮かんでいる。
どうやら、無意識の行動らしい。
いつもより、近い瞳。
そのまま、ふたりは無言で見つめ合った。
あぁ、そうかーー
月明かりの中で肌を重ね合わせる時は
自分にだけ見せる肢体に、唇を這わせることに夢中で
身体の芯は、とうにその先の悦びに翔んでいて
こんな風に、冷静に触れたことがなかった。
ドレスを纏う細い腰と、背中に触れる腕から、思いの外しっかりとした筋肉を感じる。
今更ながら、そんなことを思う自分が可笑しくて、ふと笑みを洩らす。
「スコール?」
戸惑いながら名を呼ぶとめから視線を外し、ハイウェイの向こうに聳え立つビルに目を細める。
「みんなが待ってる」
「うん」
とめがスコールの腰に腕を廻すと、ゆっくりと歩き出した。
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