パーティーへの招待状
キッス・イン・ザ・ダーク
何も見えない 闇の中
抵抗を赦さない腕が 惑う私を捉えて離さない
押し付けられた 醒めた唇
入り込んでくる 熱い舌
傲慢な態度の裏の 子どもじみたジェラシー
莫迦ね ワタシはいつだって
アナタのモノなのに
「よお」
ゲートの隅に立っていると、人波の中からサイファーは姿を見せた。
海は口角を僅かに上げ、返事をする。
実は、ふたりともエスタが所有する“ラグナロク”でスピラまで運んで貰っていた。
にもかかわらず待ち合わせをしていたのは、サイファーがスコールと同船することを嫌がったからだ。
“ラグナロク”のブリッジで、大総統でありこの船を動かす権限を持つラグナからその話しを聞かされた時、海はかるい眩暈を起こした。
海がそのことを詫びると、ラグナは笑ったが、スコールは慣れているのか何も云わなかった。
派手な事が好きなサイファーは、このザナルカンドが痛く気に入ったらしく
遠出を強いられた割には、機嫌が良かった。
「早かったね」
若干の皮肉を込めて微笑んだが、彼にそんなものが効く筈もなく
「俺は、時間には煩いからな」
そう笑った。
「じゃあ、行こうよ」
諦めたような軽いため息と共に、海はジャケットのポケットに入れていた両手を出した。
その右手を、サイファーの左腕に絡めようとした時
「おい、上着脱げよ」
「え?」
「この間買ったドレスを着てるんだろ?」
「う、うん」
「じゃあ、そんな不粋なもん着てんじゃねえよ」
サイファーの命令に、海は仕方なく黒いレースのジャケットを脱いだ。
彼が海に買い与えたのは、一枚の布を巻き付けたようなシンプルな朱いドレス。
ウエストまで大胆に開けた背中と、深く入ったスリット。
身頃のシャーリングドレープとピンヒールが、海のスレンダーなシルエットを引き立てている。
胸元には、ワントーン落とした朱のオーガンジーのコサージュ。
髪は高く結い上げ、コサージュと同じ髪飾り。耳には大粒のパール。
その姿に、サイファーは満足気に口角を上げる。
「海。オレは、自分の女を出し惜しみする程、小さい男じゃないぜ」
彼女の腰に手を添えると、グイッと乱暴に抱き寄せる。
「お前の身体もドレスも、この街のヤツらに思いっきりみせつけてやる」
海は、頬を染めてサイファーを睨み付けた。その視線にさえ、悦びを感じる。
「もう・・莫迦ね」
サイファーの腰に海が腕を廻すと、ふたりは歩き出した。
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