鋼の錬金術師 ちょっとだけ恋人気分
「お待たせ、アルフォンス」
「えっ?」
絡んでくる男たちを持て余していると、声がした。
アルフォンスがそれに気づくと、男も振り返る。
聞き覚えのある声だったが、いつもの凛とした音色ではなくとても優しく。
そして、聞き間違えでなければーー
甘い声だった。
声の主が近寄って来る。
「ーーあっ!」
「ごめんなさい、遅くなって。待った?」
ニッコリ微笑むホークアイの美しさに、男たちはポカンと口を開けた。
アルフォンスも、突然の展開に黙ったまま、ホークアイを見下ろしている。
「この乱暴な人たちは、アルフォンスの知り合いなの?」
・・
軽く睨みつけると、男たちは慌ててアルフォンスの鎧から、手を離す。
「い、いや、俺たちはーーなっ!」
隣りの男の顔を見る。
「べ、別に、絡んでなんかーーなっ!」
その隣りの男を見た。
「そうそう、そうです!!なっ!」
最後の男はそう言って、アルフォンスに引きつった笑顔を向ける。
「はあ・・」
アルフォンスは、変わり身の早さに唖然とする。
「そう・・じゃあ、私たちこれからデートだから」
アルフォンスの腕に、自分のそれを絡める。
「邪魔しないでくださる?」
「「は、は、はい~~!!」」
ホークアイが、より一層妖艶な笑みを浮かべると、男たちは勢いよく後退った。
腕を組んだまま、2人はその場を離れる。
その様子を、人混みの後ろから眺めていたハボックは
「中尉、やる~」
ニヤリと笑った。
.
