鋼の錬金術師 ちょっとだけ恋人気分
日曜日の昼下がり。
イーストシティ一番の繁華街は、休日を楽しむ人々で賑わっていた。
珍しく、日曜日に休みが取れたリザ・ホークアイは、買い物がてらこの繁華街を歩いていた。
いつもの堅苦しい軍服と違い、白いブラウスにサーモンピンクのタイトスカート。
丈はミニとはいかないまでも、いつも見れない脚線美が充分堪能出来る長さだ。
道行く男の視線を集めていたが、当人はいっこうにお構いなしだった。
「ホークアイ中尉」
窓ごしに眺めていると、後ろから声が掛かる。
「ハボック少尉」
後ろには、マスタングの部下、ジャン・ハボックが立っていた。
ホークアイのタイトスカートに、たれ眼がちの目尻が、一層が下がる。
「買い物ですか?」
「えぇ、せっかくの休みだもの」
人懐っこい笑みを浮かべるハボックに、ホークアイも微笑む。
「ハボック少尉は、見回り?」
2人は歩きながら、話し始める。
「いえ!えぇっとぉ~」
キョロキョロしながら言い澱むハボックに、ホークアイはため息をつく。
「逃げたのね・・」
「はい・・」
肩を落とすハボックに、同情の眼を向ける。
お目付役の自分が休みなので、脱走は簡単だったのだろう。
「ハボック少尉のせいじゃないわ‥。見かけたら、戻るように言っておくわ」
「はい、頼んます!」
2人が別れようとした時、前方の人だかりに気づいた。
何やら、揉めているようだ。
「ありゃ?アルフォンスか!?」
額に手をかざしているハボックが、人だかりの中から頭一つ分出ている、鎧を見つける。
「アルフォンス君?」
もめ事など、起こすような子ではないのに。
ホークアイも、驚いて人だかりを見た。
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