FFⅫ 真昼の悪夢
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粗末なテーブルにつくと、パンネロはシチューとパンを運んでくる。
「ヴァンに元気になってもらおうと思って、お肉奮発したのよ。さあ、召し上がれ」
「ありがとう、パンネロ」
置かれた皿を見ると、いつもの食事に比べずいぶんと質素な具材だ。それでも感謝してスプーンを手にした。
「おいしい?」
パンネロは頬づえをついて、ニコニコと見ている。
「あぁ、旨いよ。君は、食べないのか?」
「私はお腹すいてないから。私の分も、ヴァンが食べて」
「・・・あぁ」
一緒に出掛けたのだ、自分が空腹なら彼女もそうだろう。それでも、ヴァンに腹一杯食べさせようと思うパンネロの気持ちを汲み、きれいに平らげた。
「ご馳走さま。パンネロ、何か手伝うことはないか?部屋の修繕でも、掃除でもなんでもやろう」
「ほんと!?嬉しい!!じゃあねぇーーー」
パンネロは目を輝かせて立ち上がった。
「ねえ、そこの君!」
前を歩く侍女を呼び止める。
「は、はい。ご用でしょうか、ジャッジ・ガブラス」
「ジャッジ・ガブラス?あ、こいつの今の名か」
そんなことはどうでもいいと、馴れ馴れしく肩を抱く。
「透き通った綺麗な肌だね。それに花のような唇だ。その可愛い唇で、俺にキスしてくれないか」
「あ、あの、ガブラス様ーー」
「あぁ、もう我慢できないーー」
顎を指であげ、キスをしようとする。
「ジャッジ・ガブラス!!」
背後で金切り声がした。首を捻ると、アーシェが仁王立ちして此方を睨んでいる。
「女王陛下ーー!!」
「チッーー!」
「し、失礼致します」
舌打ちするガブラスの腕をすり抜け、侍女は足早に去っていく。
それを未練がましく見送っていると、アーシェがツカツカと寄ってくる。
「バッシューーあなた、さっきから何人侍女を口説いているの!?」
「いや~あんたんとこの侍女がみんな可愛いもんだから、ついな」
「もう、どうしちゃったのよ。いつものあなたらしくない。侍女がみんなボ~としちゃって、仕事にならないわ。あなたがラバナスタに来ていることは非公式なんだから、大人しく部屋に居てちょうだい」
「ハイハイ、わかりました女王さま」
と、肩を竦めて客間へ戻っていく。その後ろ姿を見送りながら、アーシェはため息をつく。
「全く・・いつも品行方正なのにーーーどうしちゃったのかしら」
客室に戻ったバッシュは、改めて繁々と鏡を見る。
「こいつ、思ってたよりモテるんだな。よりどりみどりじゃねえか。まてよ、バッシュの中に俺が入ってるってことは、ヴァンと俺の中にもアイツらが入ってるってことだよな」
片眉を上げると不安な顔をした。
「まさか・・・俺の中にヴァンが入ってるってことはーーーないよな」
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