FFⅫ 真昼の悪夢
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「トビー、いつものーーー」
カフェ・クロムグリーンの扉を開けたバルフレアは、店内を見た瞬間、露骨に厭な顔をした。
「いらっしゃい、バルフレア。コーヒーでーーー」
「また来る」
「なんだよ、バルフレア。帰んのか?」
呼び止める店主とヴァンの声を無視し、バルフレアは扉を閉めようとする。が、後ろから細く長い爪の指がそれを止める。
「私はトビーのコーヒーを飲みたいんだけど」
相棒のフランにそう言われ、舌打ちしながら扉を開ける。
「諦めなさい、バルフレア」
すまして横をすり抜け、空いているテーブルに着く。とはいえ、他のテーブルは埋まっていて、空いているのはひとつだけだ。
渋々向かいに座ると、トビーが冷えた水を入れたコップを持ってくる。
「いつもの?」
「ーーあぁ」
「私も」
「はい、かしこまりました」
にっこり笑うと、トビーはカウンターに入りコーヒーを煎れる準備を始める。
「なんで帰ろうとしたんだよ、バルフレア」
「お前らが居たからだよ」
「その‘’お前ら‘’の中に、私が入っているってことはないわよね」
「いくら賞金首の空賊バルフレアとはいえ、そのような無礼をするわけがありませんよ、女王陛下」
睨み付けているアーシェに、バッシュが宥めるように言う。
「そうよね、バッシュ」
機嫌を直したアーシェは、バッシュに笑みを向ける。バルフレアは、諦めてアーシェに顔を向ける。
「で、ひよっこ空賊のヴァンとお嬢ちゃんと御多忙のラバナスタの女王陛下と帝国のジャッジ殿が、お揃いで何のご用で?」
「私が呼んだのよ」
カウンターでトビーが答えた。
「お前が呼んだってことは、まさかーーー」
「そう、そのまさかよ」
沸き上がるコーヒーの香りの向こうで、トビーはにっこり笑う。
コーヒーを淹れると、トビーも同じテーブルにつく。
バルフレアとフランがカップを手にするのと同時に、全員を呼んだ理由を話し出す。
まあ、彼女が話す前から、わかってはいたが。
「今回はね、前の場所とは違うのよ。行商してるモーグリに聞いたの。 東ダルマスカ砂漠のオアシスの近くに、コーヒーの木が一本だけ育ってるんですって。それが、まだ飲んだことのない豆なのよ。お願い、バルフレア、連れてって」
「連れていくのはいいが、なんだってまたこんなに大勢で行くんだよ」
「たくさんで行った方が楽しいじゃない」
「そうだよ」
「ピクニックみたいだね」
「トビー、お菓子焼いて」
「いいわよ。パイにクッキー、スコーンもいいわね」
はしゃぐ女性たちに目を細めていたバッシュは、バルフレアを宥める。
「まあ、こんどの場所は安全みたいだから、そう渋い顔をするな、バルフレア。あんなことはもう起こらないさ」
「そうそう起こってたまるかって」
バルフレアは、前回の事を思い返し渋い顔をする。
「まぁいいじゃないか。あれはあれで、なかなか楽しかったぞ」
「あんたは気楽でいいねえ」
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