Fullmoon
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ほんの気まぐれだったんだ。
あいつに声、掛けたのは。
【月の欠片】
「別に、勝ったんだからいいだろ」
まっ、オレ様が活躍出来りゃあ、それでいんだけどよ
心ん中で、そう呟いた。
そう言ったら、アイツ、黙っちまった。
そんで、俯いてるアイツを見下ろしてたら、ガラにもなく、言っちまったんだ。
「そんなに気にしてんなら、練習すっか?付き合ってやるぜ」
そん時の、アイツの嬉しそうなツラ。
言った瞬間『しまった』って思っちまったが、そのツラを見たら
『まっ、いいか』
そう、思っちまった。
水ん中のアイツの動きは、悪かぁねえんだが、経験不足ってやつだ。
試合こなしゃあ、上手くなる。
時間はかかったが、アイツのパスで、気分よくシュートをキメた。
やりゃあ出来るじゃねえか
思わず洩らした笑みに、アイツが抱きついてきた。
そん時は、抱きしめようとしたんだぜ
アイツがキスーーしてくるまではな
触れた唇から、アイツの想いがイタい程流れ込んできて
遊びってーー割り切れるような女だったらーーよかったのによ
そしたら、俺だってーー
長い睫が震えて アイツの髪が、水に揺れていた ゆらゆら・・・てな
俺の首に必死にしがみつく肌が 心地良くて
水の中に響く、早鐘のような鼓動と
俺の身体に押し付けられた
アイツの柔らかい胸が えらく熱かった
俺は、抱きしめたい衝動を、必死で押さえてた
息が保たなくなって、アイツと二人、プールの上に顔を出した。
オメェの想いに気づかなくて
抱きしめてやれなくて
「わりぃ・・」
アイツの頭に掌を添えて、俺の胸に額を押し当てた。
アイツの涙が頬をつたって、プールにぽろぽろ落ちていく。
俺の『スキ』とおめぇの『スキ』は
きっと、天と地ほどの距離があって
見上げれば、漆黒の空が俺たちを覆うように広がって。
照明が当たるスフィアプールの青白い光りが、その空を照らしていた。
オメェの想いは、この月みてえに煌めいていて
俺にはちっと、眩し過ぎた
なあ、この月の光りを浴びて
いつか、おめえ自身も、輝やいて魅せろよ
俺が、今夜のコトを思い出して、悔しさに歯噛みするくれえに
たとえ今は、『かけら』でしかなくても
月のかけらなら きっと、輝けるんだぜ
あとがき
地上の月のジェクト視点です。抱きしめなかった彼の気持ちを書いてみました。
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