傀儡
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「あ・・いえ、まだ・・・」
旅に出る前から、ベベル寺院の中で、二人の仲は知られていた。
それ故に、戻らないアーロンに憶測が飛び交い、噂好きな女官たちが想像を逞しくしていた。
寺院のどこに居ても、好奇の眼に晒される。
心の休まる場所が、なかった。
「アヤ殿のご都合が良ければ、寺院を案内して頂けないでしょうか?私、ベベルは不慣れなもので」
「あ、はい。案内させて頂きます」
シーモアの申し出を、アヤは快諾した。
謁見の間を出て、一部の僧官しか使用出来ない通路に出る。
老師しか使用出来ない通路は、使えない。
アヤは、遠回りしながら案内した。
機械で動く通路を見ても、シーモアは動じない。
寺院の裏側を、既に聞いているようだった。
アヤは、パネルを操作した。
広間には、歴代の大召喚士の像が、参拝に訪れた人々を見下ろしていた。
像に祈りを捧げるエボンの民を、シーモアは見渡す。
すると目ざとく、何かを見つける。
「もう、ブラスカ様の像が・・」
シーモアは、ブラスカの石像の前で立ち止まる。
「ナギ節が訪れてから、すぐに造られました。
まだ、ベベル以外の寺院には、ありません」
「流石は総本山ですね。遣ることに、そつがない」
言葉の響きの中に、わずかに嘲りを感じたのは、気のせいだろうか。
そういえば、旅の途中でブラスカがジスカル様に、シーモア様を呼び戻すように言っていた。
ジスカル様から、聞いたのかしら。
シーモアは、ブラスカを凝視している。
「アヤ殿、行きたい場所があるのですがーー」
不意に振り向いたシーモアが、アヤに告げた。
彼の横顔を見詰めていたアヤは、急に優しい眼差しを向けられ、どぎまぎした。
「あ、は、はい。どちらにご案内すれば?」
「浄罪の間です」
「えっ?」
思いもよらない場所に、アヤは目を見開いた。
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