腕の中の幸福
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「すごーい!!」
ユウナは口を開けたまま、シパーフを見上げている。
ベベルを出て、マカラーニャの森、雷平原、グアド・サラムと南下した。
今は、幻光河を渡る為にシパーフ乗り場に来ていた。
「ユウナ、さあ乗ろう」
キマリはユウナを抱き上げて、シパーフに乗り込んだ。
ゴンドラには、キマリとユウナの2人きりだった。
のんびりと横断するシパーフに揺られながら、ユウナはゴンドラから身を乗り出して、水面を眺めている。
「キマリ見て!街が沈んでるよ!」
指を指すユウナにつられ、キマリも水面を覗き込む。
ガガゼト山から下りたことのないキマリにとっても、見る物全てが初めてだった。
「すごいねー」
「ユウナ、あまり乗り出すとーー」
「え?」
そのまま前転をするように、河へ落下した。
「ユウナ!!」
キマリが叫ぶと、ハイペロ族の間延びした声が返ってくる。
「大変なのね~。でも大丈夫なのね~」
シパーフの長い鼻が、ユウナの身体に巻き付く。
「うわー!高ーい!」
歓声を上げるユウナを、ゴンドラまで持ち上げた。
キマリの腕がそれを受け取ると、シパーフの鼻はシュルリと戻っていく。
「キマリ!キマリ!シパーフすごい!」
「ユウナ、危ないから大人しく座れ」
興奮して、抱きついてくるユウナをキマリは諌めるが、一向に冷める気配はない。
それどころか、その後、三度も自分から河へ飛び込んだ。
三度めに飛び込んだ時、キマリはゴンドラの上で、ため息をついた。
「へへへ」
流石に怒っていると思ったのか、助け上げられるとごまかすように笑った。
キマリは無言でユウナを抱き上げ、膝の上に乗せた。
「もう、向こう岸へ着く。大人しくしていろ」
キマリの大きな掌が、ユウナをしっかりと抱きしめる。
その大きな掌に、ユウナは自分の両手を重ねた。
「は~い」
膝の上からキマリを見上げるユウナは、素直に従った。
【膝の上の小さな幸せ】
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