「ただいま」

「お帰りなさい、アーロン」

扉を開ければ、アヤの笑顔が出迎えた。
食事を済ませ、湯に浸かりながらアーロンはため息をついた。
寺院で散々冷やかされたが、一緒に暮らしているとはいえ実際『やる』どころか『口づけ』さえ数える程しか交わしていない有り様だった。

アヤは１６で自分は２４だ。
まだ幼さが残るアヤに、強引に迫るのも躊躇われて、結局何も出来ずにいた。
アーロンが風呂から上がると、テーブルも流しもきちんと片づけられ、アヤはソファで寝息をたてていた。

「アヤ、風邪を引くぞ、ベッドで寝ろ」

「うん・・」

返事は返ったきたものの、一向に起きる気配はない。
アヤはシンに両親を殺され、遠縁であるブラスカに引き取られた。
昼間は寺院で働いて、休日はアーロンから武術や剣術を習っていた。
疲れるのだろう、毎晩こうだ。

「これでは当分、何も出来んな」

アーロンは苦笑して、アヤをベッドに運んだ。



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